「ワンタッチ痴漢」と言わないで…性犯罪を軽んじる言葉に警鐘 発信源と報道された警視庁に聞いた
「ワンタッチ痴漢きもすぎた」「ワンタッチ痴漢の防止」とメディアでの報道を機に「ワンタッチ痴漢」という言葉をSNSで使用する人も…。そんな軽い呼称に対して警鐘を鳴らすのは、一般社団法人痴漢抑止活動センターの代表理事を務める松永弥生さん。 【写真】どんな対策をすれば? 松永さんも「ワンタッチ痴漢なんて、軽い言葉で表現されるのは不愉快の極み。一瞬でも、同意なく、からだに触れてきたら不快。犯罪です」と話します。実際に、SNSでも、「ワンタッチとか言わないで普通に性犯罪と言ってほしい」「犯罪と被害者を軽く見過ぎ」「ワンタッチって犯罪に使う言葉ではない」というコメントも。 これまでも「性的いたずら」「セクハラ」のほか、買売春を「パパ活」、学内での暴行を「いじめ」、住宅強盗を「闇バイト」ということなども含めて、犯罪行為を矮小化、カジュアルに見せる言葉が蔓延しています。 今回はそういった言葉に対して松永さんと、警視庁が「ワンタッチ痴漢」という言葉を使ったという報道について取材しました。
心と体が受けた傷に対し、言葉が軽すぎる
高校時代(40年以上前)に通りすがりでの痴漢行為に遭い、軒並み友達も被害にあったという松永さん。「 今は、街に防犯カメラが多数設置され、加害者の特定もできるようになった。 被害にあったら、その場で110番しようね」と性犯罪を放置したり、あきらめたりするのではなく、犯罪を減らすためにも、処罰を受けさせる対応がいかに重要かを日々訴えています。 「通りすがりにからだを触る痴漢は昔から存在しているのに、“ワンタッチ”という言葉でカジュアルな印象を与えることに嫌悪感があります。自転車で走行中に胸を触られたことで、バランスを崩し、大けがを負った被害女性もいます。心も体も大きな傷を負うのに、それが伝わりません」。 痴漢は電車、商業施設の館内や路上などで犯行を働くこともあり、泣き寝入りが多いことも実感していたそうですが、「これまでは、一瞬のことで自衛する術もなく、証拠を取れることもなく、悔しい思いをする人が大半でした。でも、SNSで声を上げたり、スマホなどで写真を撮ったりする人が出てきました。可視化されてきたのが現在です」と、痴漢は触った時間の長短に関わらず、すべて痴漢として対応すべきだと話してくれました。