パリ在住の60代、大量のものを手放し「小さな暮らし」に。買い物の代わりに始めたこと
パリに暮らすマダムたちは「いつも自分軸で考える」「日々の小さなできごとを愛おしむ」など、自分たちの暮らしの範囲で楽しむことに長けています。ここでは、在仏30年以上のファッションコーディネーター・大塚博美さん(65歳)が実践する、小さな暮らしについて紹介します。 【写真】パリ在住65歳、こだわりがつまった部屋
ロックダウンをきっかけに小さな暮らしへ
20代でバイヤーとしてパリへ渡ったのをきっかけに、現在は、ファッションコーディネーターとして、海外進出する日本人デザイナーたちのサポート全般を手がける大塚博美さん。その仕事内容は、年4回開催されるパリコレクションでのモデルのキャスティング、ショー全体のコンサルティング、エキシビションのオーガナイズに始まり、撮影や取材の手配や展示会の開催までと多岐にわたります。 年に4~5回パリと東京を往復する2拠点生活を送っていた大塚さんでしたが、2020年冬に状況が一変します。新型コロナウイルスの感染拡大、そしてロックダウン。仕事はすベてストップし、急きょ日本に帰国することに。パンデミックで先が見えない2021年1月、100平米の広いアパルトマンから、マレ地区のスタジオに引っ越しを決め、それにともない、持ちものの整理をすることとなりました。 「新しいスタジオはスペースとしても狭くなったうえに、大家さんに、自分が不在の間は、Airbnbで貸し出してもらってよいのでという条件で家賃交渉をしたので、ほとんど自分のものは置けないというさらに厳しい条件に。そのため、結局、いくつかのベッドリネン、食器、写真集などを残して衣類はすべて日本の夫の家へ持ち帰りました。その量なんと150kg! そのときに処分した家具、電化製品、本、CDなどの量はものすごかったですね」 何年も袖を通していない服、DVD、読んでいない本。そして、何代も昔からのコンパクトカメラやビデオカメラはダンボール2箱分にも。 「暮らしをコンパクトにするには住む場所を小さくするのがいちばん効果的です。持っておきたくても入れる器がない!でも本当に必要性があるときしかできないのかも」と当時を振り返ります。