著名人からのラブコールが絶えないラグジュアリーレザーグッズブランド「Strathberry」、本拠地エディンバラでその魅力を解き明かす
デザインの基盤となるこの過程には、デザインチームだけでなくマーケティングチームも携わり、リサーチトリップで得たインスピレーションや顧客からの声を反映させて進めていくという。
ブランドのシグネチャーであるゴールドのバークロージャーによって特徴づけられる「Strathberry」のバッグ。「私達のDNAの一部であるバークロージャーは、ミュージシャンや演奏家の革製楽譜ホルダーからインスピレーションを得たものです」とリーアンは説明した。 バッグによって異なるサイズとデザインに変貌するバークロージャーと、そのDNAを装飾品へと変容させたジュエリーラインのプロトタイプは、アトリエに備える3Dプリンターで制作される。
紙模型を基にレザーで仕上げたプロトタイプのバッグとバークロージャーが完成しても、完成までの道のりはまだまだ長い。レザーの種類、素材、色、ステッチの太さと色、機能性といった主要なパーツからディテールまで細心の注意を払って一つひとつ丁寧にデザインされていく。
ようやく形になったプロトタイプは海を渡ってスペインへと運ばれ、ブランド創設のきっかけとなった、技術を何世代にもわたって受け継ぐ職人の手業によって完璧な製品となる。
日本の高度な技術と伝統、美意識を尊敬
クラフトマンシップへの讃歌を体現する「Strathberry」の視線は、世界中に向けられている。アーカイブの貯蔵庫は、限りない創造性と熟練した職人技を凝縮した、バッグを超越してアートピースとも呼ぶべき作品が並ぶショーケース。
着物の生地である絹織物をレザーと組み合わせたバッグや、レザーのカッティング技術が光るドラゴンのモチーフ、アーティストによってハンドペインティングされた緻密な幾何学柄、モロッコの伝統工芸であるラフィアを編んだトートバッグ、インドで手作業で施されるガラスビーズや花柄の刺繍などを通して、各国の伝統とクラフトマンシップを称える。
10周年のアニバーサリーイヤーとなった今年は、アーカイブのユニークな作品や象徴的なシルエットを復活させた一点もののアイテムをチャリティオークションに出品し、地元と世界中のコミュニティへと還元させて、職人技術の保護と継承に加えて慈善活動にも精力を注いでいる。
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