坪倉由幸の役者ライフ 俳優業で得られたもの「我が家」に還元
相方まさかの役者願望?「谷田部と共演やりづらい」
我が家は2003年結成だが2005年にはM-1グランプリで準決勝に進出。トリオ漫才で人気を呼び順調に知名度を上げていった。 坪倉が俳優業を本格化させるきっかけとなったのは10年前のこと。フジテレビの深夜枠で菜々緒主演の土曜ドラマ「主に泣いてます」に出演したことからだ。 「プロデューサーさんから原作漫画に出てくる警察官の役が『坪倉さんにピッタリだからぜひやって欲しい』と。ドラマは初めてで右も左もわからず見た目のイメージだけで呼んでいただきました。そうこうするうちに同じ事務所のD-BOYSの舞台に出させてもらったりして、少しずついろんな方の目にとまるようになったんです」 「六本木クラス」など民放の話題作やNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」にも出演するなど役者としての活躍もすっかり板についてきた坪倉だが「相方に嫉妬されているみたいで」と笑う。 「谷田部が舞台だとかドラマだとかやりたいタイプなんですよ。なので僕のことを『すごいね』と言ってくれるんですけど、そう言いつつも嫉妬されているのを感じます(笑)。マネージャーに聞いたんですが、谷田部は『俺にも坪倉みたいなドラマの仕事がない?』とたまに相談しているらしいです」 だが、もし谷田部が役者になったとしても共演のイメージはわかないと、さらに笑う。 「やりづらいですよ。最初っから3人で一緒に芝居やろうだったらいいんですが、現場で谷田部に演技しているところを見られるのは恥ずかしい気持ちがします。共演は嫌ですね(笑)」
最新作で阿部サダヲと共演「主役やる人はさすが」
そんな坪倉だが最新の出演映画「アイ・アム まきもと」(9月30日公開)では主演の阿部サダヲ演じる牧本壮の上司役を好演している。人知れず亡くなった人を埋葬する市役所の「おみおくり係」として働く牧本(阿部)は故人の思いを大切にするあまり世間のルールより自分の考えを優先、周囲に迷惑をかけ続けている。坪倉はその「おみおくり係」廃止を決定する新任局長・小野口義久役だ。 「この作品に限らずまずは第一に監督さんの注文通り忠実に演じているつもりで、役作りなんてあまり意識してはいないのですが……強いていえばこれまで出会った方々の中から『あの方に近いかな』と役に近い方を探して、そこからいろいろ想像していきます」 今回の上司役も同じように役作りをしていったようだ。 「僕はあまり嫌な上司に出会ったという経験はないのですが、アルバイトをしていた頃に嫌味っぽい先輩がいたなあ、と思い出して。僕は人の特徴を捉えて真似することが昔っから好きなので、そういうものを盛り込みました」 阿部との共演はとてもやりやすく、さすがだと感じたという。 「僕は阿部さん演じる牧本にイライラしなくてはいけないんですが、阿部さんがしゃべり方一つとっても『あー、本気でイラつくな』と感じて演じているんです。牧本は悪い方じゃないんですが人の話を聞いてないなとか、その辺のニュアンスを的確に演じていらっしゃるので、僕も素直にセリフが出てしまいました。やはりさすがだな、主役をやる方は違うなと思いましたね」