田中圭の愛される力、そしてお芝居のルーツ エルナードのある街で育った少年時代
コメディーからミステリー、ホラー、人間ドラマ、さまざまな役柄で観る者を惹きつける俳優・田中圭。“愛されキャラ”とも言われる親近感も魅力だ。芸能界に入ったきっかけは、母親が本人に無断でオーディションへ応募したことだったという。そこから押しも押されもせぬ人気役者になった。最新の映画では初めて動物との本格的な共演に臨んでいる。ますます役者としての幅を広げる田中に、芝居との出会いについて聞いた。
丸井でもパルコでも東急でもないエルナードの街で
少年時代の田中は東京の下町で暮らしていた。いまでも下町の風情をこよなく愛しているといい、過去テレビ番組などでも生まれ育った江東区の亀戸についてトークをしている。 「洗練されていないところが好きで。渋谷や新宿に憧れはあっても真似はできない。下町的なごちゃごちゃしていることの心地良さ。僕自身ガヤガヤしたところで育っているので、あまりスタイリッシュな感性だとかは得意ではなかったし、ある程度ごちゃごちゃして雑多な感じが好きなんです。けっしておしゃれじゃないけれど、おしゃれを目指していますみたいな」 学校は小学校が馬喰横山、中学・高校は千葉へ通い、成人するまでこの街で暮らした。当時亀戸駅には亀戸エルナードという駅ビルがあった。エルナードは1978年に開業してから地元の人々に親しまれたが2006年にアトレ亀戸に変わっている。 「エルナードって亀戸以外で聞いたことがなかった。そういうところがいいんです。丸井でもなければパルコでもない、もちろん東急とかでもなくてエルナード、っていうところが(笑)」 どんな少年だったのか聞くと、「あまり1人でいることのない子どもでした」と答えが返ってきた。その性格は現在の俳優業にもフィットしているようだ。 「今でも1人で何かやることが極端に苦手です。それが2人なのか5人なのか10人なのか、100人なのか。規模は違っても誰かと何かをするのは基本的にみんな同じだと思います。一緒にいる人と楽しみたい。ドラマや映画だと作る側だけの話じゃなくて、観てくださる方の人数ってやっぱり計り知れない。そういうことを考えると、意外と今の仕事に向いていたのかな、と思います」