内戦中のスーダンをアフリカネイションズ杯出場に導いた手腕「メッシやロナウドであると思わせ」
スーダンを2025年のアフリカネイションズカップ出場に導いたクウェシ・アッピア監督の手腕に注目が集まっている。『BBCスポーツアフリカ』が伝えた。 2023年4月から始まった内戦がいまだに続いているスーダン。代表チームは内戦の影響を受けて拠点を持てなかったほか、国内リーグは中断、国内予選はリビアと隣国南スーダンで行われた。 かつてガーナ代表を率いたアッピア監督は「スーダンの人々がいかに愛情深いかは知っている。キャンプ中に選手4人が近親者を失った。本当に悲しい状況だが、彼らはなんとか対処しようとしている。選手全員が彼らを慰め、励ましている。簡単なことではないし、私たちはこうしたトラウマに直面しているが、なんとか対処する」と内戦に立ち向かうとしたうえで、アンゴラ代表に0-0で引き分け、アフリカネイションズカップ出場を手にした喜びを語った。 「アフリカネイションズカップ出場は契約前に自分に課した目標の一つだったので、それを達成することは心の中で決めていたことだ。私が契約したもう一つの理由は、スーダンの人々のためだった。母国での戦争のせいだ。選手たちは多大な献身を見せてくれた。もしかしたら、サッカーを通じて戦争が終わるかもしれない。それが私を幸せにしてくれた」 困難な状況に打ち勝った64歳のアピア氏は心理学が鍵となると語った。 「選手たちに、自分たちが(リオネル)メッシや(クリスティアーノ)ロナウドであると思わせ、どんな試合でも限界を感じさせないようにすることが大事だと私は信じている。どこへ行こうとも、そこが私たちのホームだ。サポーターがいてもいなくても、家族のために、自分自身のために、そして国のためにプレーする」 「アフリカネイションズカップやワールドカップへの出場資格を得ることで、スーダンの戦争を変える、あるいは戦争を止めることが選手たちにはできるかもしれない。少なくとも私は彼らに戦うべき理由を与えた」 2026年FIFAワールドカップ(W杯)の予選4ラウンドを終えて、セネガルとコンゴ民主共和国も含まれる6チームのグループで首位に立っているスーダン。「スペイン、イングランド、ドイツ、ブラジルといった世界最高のチームを観るんだ。私は(選手たちに)『彼らのレベルに自分を合わせなければ、どうやってW杯出場を目指せるんだ?』と言っている」と悲願のW杯初出場に向けて指導論を明かしたアッピア監督率いるスーダン代表に注目が集まる。