日銀・黒田総裁会見12月18日(全文2)何よりもこの感染症の収束を願っている
十分情報を収集しつつ、必要な点検を行いたい
総括的検証のようなフレームワーク自体を見直すっていうことではありませんけれども、しかしその中で現下の状況に鑑みて、またFRBやECBのレビューなども十分情報を収集しつつ、必要な点検を行ってまいりたいというふうに思っております。 そうした中で、新たな政策手段を導入するかどうかっていうのはその点検した結果次第でありまして、いずれにいたしましても2%の目標の実現に向けて金融緩和を行っていく上で、さらなる工夫ができるのであれば実施したいというふうに思っております。いずれにせよこれは点検の結果次第ということであります。
ETF残高の有効利用は考えないのか
ブルームバーグ:ブルームバーグニュースの藤岡です。2点お伺いしたいんですけれども、その点検、まだ発表されたばかりで何か具体的なことが決まっているとはないと思うんですけれども、総裁、再三、超長期金利のところはもうちょっと上がってもいいということをおっしゃっていて、日銀も総括的検証でそういった結果を出されています。で、もうよくご存じのようにRBAなどは3年物をターゲットとしてFedの議論もどちらかというと短いほうがいいんじゃないかっていう議論がありました。総裁、10年ではなくてそれよりも短いところをターゲットにするということについてどういうふうにお考えになっているかがまず1つです。 あともう1つ、ETFについてなんですけれども、もちろん出口はまだまだということなんですが、ETFを買い続けることによって残高というのはどんどん増えていきます。この買い入れを続けつつ、この残高を、例えば個人に売ったりだとか、GPIFに売ったりだとか、それともESGの投資に向けたりだとか、有効活用できないのかというところにいろんな議論がマーケットであるんですけれども、総裁ご自身はその点についてどういうふうにお考えになっているでしょうか。 黒田:イールドカーブ・コントロールは適切に機能しておりますので、枠組みを変更する必要はないというふうに考えていますが、具体的な運営についてはより効果的で、持続的な金融緩和を実現する観点から点検の対象となるということを申し上げてきたわけであります。 イールドカーブの水準、形状につきましては、これまで2つのことを述べてきておりまして、1つは総括的検証におきまして、超長期金利の過度な低下は保険や年金などの運用利回りの低下などの影響を及ぼす可能性があるというふうに指摘したわけですが、現在でもこうした認識に変わりはありません。他方で、現在は感染症の拡大が経済に打撃を与える中で、債券市場の安定を維持して、イールドカーブ全体を低位で安定させるということが大事な状況であるというふうにも考えております。そうした中で、イールドカーブ・コントロールの運営の仕方について議論をしていくということになると思いますが、ご指摘のようなことを今、考えているかというと、特に考えてはおりません。 それからETFについては売却とか、そういうような、これはもう出口の議論の1つで、まったく時期尚早だと思いますし、そういうことは現在考えていません。 【書き起こし】日銀・黒田総裁会見12月18日 全文3へ続く