日銀・黒田総裁会見12月18日(全文2)何よりもこの感染症の収束を願っている
なぜこのタイミングで発表したのか
西日本新聞:すいません、西日本新聞の下村と申します。先ほど話題に挙がりました、地域金融のための特別当座預金制度についてお伺いします。先ほど総裁、金融システム安定化のためのインセンティブというお話でしたが、日本銀行がこういう手段を取ること自体が異例のことだと思われます。なぜあめとむちで言うところのあめを与えることとされたのか、長年、地銀再編ということがいわれてきた中で、あめを与えないと事態が動かないと判断されたということなのでしょうか。またなぜこのタイミングで制度を発表されたのか、きっかけはなんだったのでしょうか。合併特例法なのか、コロナなのか、菅総理の発言なのか、黒田総裁のご見解をお伺いします。 黒田:日本銀行は先ほど来申し上げておりますように、物価の安定ということが最大の使命でありますけれども、他方で金融システムの安定ということもその役割の中に入っております。一番極端な場合はレンダー・オブ・ラスト・リゾートっていう形で金融システムに潤沢な流動性を供給するといったようなこともありますけれども、基本的に金融システムの安定っていうことが日本銀行にとっても重要。これは金融政策っていうものが基本的には、金融仲介機能を経由して経済に対して働き掛けをして、さっき申し上げた物価の安定をもたらすということですので、日本銀行としても金融システムの安定というのは非常に今、重要になってくるわけであります。そうした観点から地域金融の、特に地域金融の強化のための措置として、今回導入することを決めたわけであります。
地域金融機関の収益力の下方トレンド抑制のため
これ自身に現在、細部を詰めているところですけれども、全体のシステム、制度の概要についてはすでにご説明しているとおりでありまして、あくまでも地域金融機関が、地域経済をしっかりと支えて、金融仲介機能を円滑に発揮していくために経営基盤の強化を図るという、それを日本銀行として必要であり、そういう面についてインセンティブを付けるということであります。 具体的にもOHRという収益力や経営効率の改善といったことを挙げて、地域金融機関の強化を図っているところであります。【******合併 00:38:43】ということは、そのための1つの選択肢ではありますけども、単独で行うか、あるいは他業界とのアライアンスなどを活用していくか、その他いろいろなやり方がありますし、それは各金融機関の経営判断だというふうに思います。 なぜこういうものを今、打ち出したかっていう点については、類似の金融システムレポートでも述べておりますとおり、もちろん特に地域金融機関についてそうなんですけれども、人口減少とか高齢化とか、地域における企業数の減少とか、そういったこと、さらには低金利の長期化といったこともあって、地域金融機関の収益力というものについて、下方トレンドがあると。それをやはり押しとどめて、地域金融機関として地域における金融仲介機能を十分発揮してもらいたいと。そういうことが日本銀行の金融政策がより地域経済に浸透していくよすがにもなるということでありまして、日本銀行としてこういう金融システムの安定化のために、プルーデンス政策として実施する必要があると考えて行ったものであります。