日銀・黒田総裁会見12月18日(全文2)何よりもこの感染症の収束を願っている
今回の経験を成長につなげることも重要
それからおっしゃったように、この2020年というのは新型コロナウイルス感染症が世界中に深刻な影響を及ぼした年だというふうに思います。金融・経済面では春先にかけて内外の金融資本市場が大きく不安定化しましたし、本年前半の世界経済はリーマン・ショック時を上回る大幅な落ち込みになっています。こうした状況に対して、わが国をはじめ世界中の政府、中央銀行が大規模な措置を積極的に講じたことから、内外の金融市場は落ち着きを取り戻しておりまして、また世界経済も夏場以降は持ち直してきております。 ただ、まだ世界的に感染症の拡大は収束しておりません。経済の水準は依然として低く、改善のペースも緩やかです。従いまして、日本銀行としては引き続き強力な金融緩和措置により経済を支えていくことが重要だというふうに考えております。 来年のことを言うと鬼が笑うといいますけれども、2021年の展望につきましては、何よりもこの感染症の影響の収束を願っているわけでありまして、ワクチンに関する前向きな動きは明るい材料でありますけれども、今後を見据えて、今回の危機の経験を将来の成長につなげていくということも重要だと思います。日本銀行としても緩和的な金融環境を維持することで、企業などの前向きな取り組みをしっかりと支援していきたいというふうに考えております。そちら、すいません。
何のために2%目標が必要なのか
TBSテレビ:すいません、TBSの【ゴトウ 00:31:33】といいます。1点だけお願いします。先月、安倍前総理が議員連盟の会合で、物価上昇2%に達していなくても完全雇用に近い状況をつくったから、それは評価されるべきだと述べるなど、この2%という目標が持つ意味があらためて問われていると思いますが、この新型コロナの状況も踏まえて、どういう目的のためにこの2%という目標が必要なのか、あらためて教えてください。 黒田:日本銀行の使命というのは、最大の使命が物価の安定であるということでありまして、日銀法にも日本銀行は物価の安定を通じて健全な経済の発展に資するようにするということになっていますので、当然物価が安定すればいいのでほかはどうでもいいということではなくて、あくまでも物価の安定を通じて健全な経済の発展をもたらすということでありますので、当然雇用とか、企業収益とか、そういったことも重要なファクターであることは事実なんですけども、ただ、そのために日本銀行ができることの最大の貢献というのは、やはり物価の安定を通じてそういったことをもたらすということでありまして、現時点では2%の物価安定の目標は達成されていないわけですけれども、やはり引き続き2%の物価安定の目標を目指して、金融緩和を続けていくことが重要だと考えております。 もちろんそういうことによって、その経済が支えて、雇用も安定させるという効果はもちろんありますけれども、それは日本銀行が2%という物価の安定の目標を目指して行うことによって、そういうことに貢献できているということだと思います。なお2%という数字自体についてはご承知のように消費者物価指数が過大表示の傾向がある。これは指数の見直しが、例えば5年ごととか、それからラスパイレス式でやっているとか、各国とも同じような問題があるわけです。それからもう1つはやはり金融政策の余地というものも必要です。そういった2つの点から各国とも2%の、主要各国の中央銀行は2%の物価安定目標というのを掲げて金融政策を運営しているわけですね。 そうした下で主要国はそういうふうに同じような金融政策の目標を掲げて金融政策を運営しているっていうことが、主要国間の為替の安定にも通じているということだと思いますので、そういった意味で日本銀行としては2013年の1月に決定した、2%の物価安定目標の実現を目指して金融政策を行うっていうことが引き続き続けていく必要があるし、続けていくということであります。