最高の蜂蜜とレモンで作るカクテル、シンプルにおいしさ追求 ザ・リッツ・カールトン東京
連載《hotel TIPS》Vol.21
編集長がホテルのおいしいものや楽しみを探しに行く「hotel TIPS」。今回は、深い味わいの日本産の蜂蜜を使った、目にも楽しいカクテルがあると聞いて、ザ・リッツ・カールトン東京(東京・港)にある「ザ・バー」を訪れました。考案者であるバーテンダーは、「究極の日本のカクテルを作りたい」という熱い信念を胸に、自ら産地に出向いて材料を探し出したのだとか。カクテルはもちろん、バーテンダーその人にも興味がわいてきます。さて、いったいどんなストーリーが明かされるのでしょうか。 【1分動画・写真はこちら】氷の「蜂の巣模様」はどうつける? ロックなバーテンダーが語る最高においしいカクテルとは
■最上級の素材、シンプルに合わせると…
カクテルの名は「ビーズ & ティー」。ビーはミツバチ、ティーは日本のお茶を指します。グラスの周りは濃緑の抹茶の化粧が施され、レモンイエローのカクテルが満たされます。真ん中には蜂の巣のハニカム模様が施された四角い氷と、白いベゴニアの花。その鮮やかで上品な色合いが印象的で、不思議なたたずまいに心が引き寄せられます。ちなみに氷の模様は、ハニカムが刻まれた銅製の型に押しつけて転写するのだとか。 レモンの酸味とドライジンの苦み、蜂蜜の柔らかい甘みが、香り高くバランス良く溶け合い、すっきりした飲み口です。グラスからほんのり立ち上る抹茶の香りがアクセントを添えます。 「おいしい『蜂蜜レモンジン』でしょう? 日本の最上級の材料をふんだんに使って、シンプルに作りました」。説明する考案者のヘッドバーテンダー、和田健太郎さんの表情も誇らしげです。 近年、カクテルの多様化がどんどん進んでいます。けれども和田さんは「作り方やプレゼンテーションに凝ることと、ほんとうにおいしいかどうかは別です」と断言します。「カクテルの方程式は何十年も前にしっかり確立されているのだから、むやみに複雑化する必要はありません。カクテルはシンプルでいい、僕はそう思っています」 和田さんは元ロックミュージシャン。ニュージーランドを拠点にバンド活動を続けていたのですが、解散とともに帰国し、東京でバーテンダーとして働きはじめました。 ほんとうに自分がおいしいと思えるカクテルを探し求め、国内外を飲み歩いているうちに、バンコクで訪れたバーで出合った1杯に衝撃を受けました。クラシックカクテルの「ビーズ・ニーズ(Bee's Knees)」です。 「材料はジン、レモン、蜂蜜だけなのですが、あまりにもおいしいので驚いた。ちなみにビーズ・ニーズにはスラングで『かっこいい』とか『最高』という意味があるんです。それで『よーし、日本に帰ってめちゃくちゃおいしいビーズ・ニーズを作ってやろう』と決心しました。まず始めたのは、蜂蜜を探すことです」 やがて知人に教えてもらったのが、福岡県久留米市の「貴和蜜」。日本ミツバチによる百花蜜で無添加、非加熱の希少な蜂蜜です。口にした時は感動を通り越して「ただただおいしかった」