なぜスピードスケート女子500mで2人の明暗が分かれたのか…不出場も検討の高木美帆が銀、連覇挑戦の小平奈緒は痛恨ミスで17位
北京冬季五輪のスピードスケート女子500mが13日、国家スピードスケート館で行われ、高木美帆(27、日体大職員)が37秒12の自己ベストで銀メダル。1500mに続き今大会2つ目の銀メダルを獲得した。 最初の100mを30選手中で5位タイの10秒41で通過した高木は、続く400mのラップでも37秒04で優勝したエリン・ジャクソン(29、アメリカ)とトップで並ぶ26秒71をマーク。スプリンターとしての潜在能力を3度目の五輪で解き放ち、夏季五輪を含めた日本女子選手で最多タイとなる、通算5個目のメダルを手にした。 日本女子選手で史上初となる冬季五輪連覇を目指した小平奈緒(35、相澤病院)は一歩目でつまずく痛恨のミスが響いて38秒09の17位。開会式で日本選手団の旗手を務めた郷亜里砂(34、イヨテツク)は37秒983で15位だった。
自己タイム更新で1500mに続く2つ目の銀メダル
それまで漕いでいた自転車から降りた高木が、リカバリールーム越しに氷上の様子をのぞきこむ。メダルの行方が決まる最終第15組の号砲が鳴る前の時点で、第4組で圧巻の滑りを見せた高木の名前が2位にランクされていたからだ。 競技が進んでいくほどに、今シーズンのワールドカップ・ランキングの上位者が登場する。しかし、最終組のアンジェリカ・ボイチク(25、ポーランド)も、そしてオリガ・ファトクリナ(32、ROC)も高木のタイムに遠く及ばなかった。 銀メダルが確定した瞬間、高木は右手を突きあげて飛び上がって喜んだ。 「今回のオリンピック、苦しい時間が続くなかで500mの自己ベストを出せたこと、そして渾身のレースができたことを、自分のなかでまず嬉しく思っていました」 フラワーセレモニー後のフラッシュインタビュー。自身のレースを終えた直後の心境をこう振り返った高木は、続く11組、計22人の選手が滑ったなかで、自らのタイムを上回ったのが金メダリストのジャクソンだけだった結果にさらに声を弾ませた。 「こうしてメダルが取れたのは、いろいろな条件が重なって起こったことでもあるのかなと思っています。いまは正直、驚いている気持ちでいっぱいです」 3度目の五輪で初めて臨んだ500mで、一世一代の滑りを見せた。 最初の100mの通過タイム10秒41は、第4組を終えた時点で群を抜いて速く、最終組までの全体を通じても5位タイにランクされた。最初のカーブで加速されたスピードはバックストレート、そして第2カーブに入ってもまったく衰えない。 37秒台の前半が優勝タイムになると見られていたなかで、自己ベストを0秒10更新する37秒12でフィニッシュ。後を滑る選手たちに大きなプレッシャーを与えた。