森保ジャパンが9月の欧州遠征で「仮想スペイン・ドイツ」の欧州勢ではなく米国・エクアドルと強化試合を組む理由とは?
日本サッカー協会(JFA)の反町康治技術委員長が16日にオンライン取材に応じ、次回9月の国際Aマッチデー期間でヨーロッパへ遠征し、2試合を実施する方向で調整していると明かした。対戦国への言及は避けたが、海外メディアはともに11月開幕のカタールワールドカップに出場するアメリカ、エクアドル両代表の名前をあげている。本番前で最後となる強化マッチで、ヨーロッパの地でヨーロッパ勢以外のチームと対戦する意図を探った。
UEFAネーションズリーグが開催中で欧州勢とのマッチメイクが困難
カタールワールドカップへ向けた最後の強化マッチに臨む、9月19日から27日までの国際Aマッチデー期間で、JFAが描くプランの輪郭が明らかになった。 16日に行われた月例の技術委員会後に、オンライン形式で実施されたメディアブリーフィング。日本国内での4連戦に臨んだ6月シリーズとは異なり、ヨーロッパへの遠征を計画しているのかと問われた反町技術委員長は「そのような方向でとらえてもらっていい、と思っています」と首を縦に振った上で、さらにこう続けた。 「9月の活動は当然ながら、11月に開幕するワールドカップ本大会へ向けた最後の、いわゆるラストスパートとなるので非常に大事になってきます。いまのところ2試合を予定している、というのは間違いありません。対戦相手に関しては、ワールドカップに出場する国であることは間違いない、と理解してもらえれば」 2勝2敗で終えた6月シリーズは、ヨーロッパ組のコンディションが優先されていた。各国のリーグ戦を終えて帰国した選手たちは短いオフで英気を養った後に、千葉市内にある活動拠点、高円宮記念JFA夢フィールドで自主トレーニングを積めた。 UEFAチャンピオンズリーグ決勝があったFW南野拓実(27、リバプール)やコンディションに問題を抱え、最終的に離脱した守田英正(27、サンタ・クララ)らを除き、5月30日の初日からフルメニューを消化できたキャンプを「準備をしていた分、いろいろな意味でコントロールしやすかった」と反町技術委員長も振り返る。 対照的に次回9月の国際Aマッチデー期間は、ヨーロッパの新シーズンが開幕してまもない段階で設けられている。再び日本国内で強化試合を行い、ヨーロッパとの長距離移動を強いるのは、カタールワールドカップを考えても現実的ではない。 こうした観点から、9月にはヨーロッパ遠征が実施されるのではないかと以前から考えられてきた。コロナ禍の2020年秋にオランダおよびオーストリアで、ヨーロッパ組だけでアフリカ勢、北中米カリブ海勢と4試合をマッチメイクしたノウハウを生かしながら計画が進められてきたなかで、技術委員会はマッチメイクの難しさに直面してきた。 ヨーロッパへは遠征するものの、公式戦であるUEFAネーションズリーグが真っ盛りのヨーロッパ勢とは、一部を除いてマッチメイクができない状況が6月シリーズから、もっとさかのぼればロシア大会後の2018年9月から続いている。 一部とは奇数で今年6月にスタートした第3回ネーションズリーグを戦っているエストニア、マルタ、サンマリノ、アイスランド、イスラエル、アルバニア各代表で、アルゼンチン代表はこうした状況を利用して、現地時間の今月5日にFIFAランキング110位のエストニアとの強化マッチをスペインで実施。FWリオネル・メッシ(34、パリ・サンジェルマン)の5ゴールで5-0と大勝した。 しかし、6カ国のなかでFIFAランキングの最上位にいるのは、前回ロシア大会でワールドカップ初出場を果たした63位のアイスランド。66位のアルバニア、76位のイスラエル、エストニアをはさんで169位のマルタ、211位のサンマリノと続く。