問題を抱えた子どもたちが犠牲に。「プロブレム・ティーン産業」の闇
「現代はメンタルヘルスの危機的状況です。だからこそ、彼らはそれをビジネスモデルの中心に据えるのです」
プロブレム・ティーン産業のビジネスモデルは、特にこうした富裕層が抱く恐怖に基づいて構築されてきた。彼らの子どもたちには高いレベルのプレッシャーがかかっており、それが矯正治療が必要だと思わせるきっかけとなっている。「こうした親は、子どもが自分たちの社会階層から脱落してしまうのではないかと恐れているのです」とサラヴィッツ。 保険は「医学的に必要」とみなされない限り治療費をカバーしないため、長年にわたりプロブレム・ティーン産業は富裕層だけのものとなっている。さらに、教育コンサルタントや私立の入院施設(主に富裕層が利用できる別の解決策)からの紹介も、この業界を肥やしている。「教育コンサルタントは富裕層をターゲットにしています」と、プロブレム・ティーン産業の規制強化を提唱する非営利団体「Unsilenced」のCEOメグ・アペルゲートは言う。「そして、こうしたコンサルタントの多くは紹介料を受け取っています」 ロサンゼルスで20年間教育コンサルタントを務めるが、プロブレム・ティーン向けのプログラムには紹介を行っていないジェイミー・バカルは、治療施設がコンサルタントに連絡を取るのは、彼らのプログラムがコンサルタントの顧客である上流階級の人々の目に留まるかもしれないと期待しているからだ、と語る。「今は市場が混雑しているので、新しく参入してきたコンサルタントが治療寄宿学校というニッチな市場を受け入れる可能性があります」とバカル。「現代はメンタルヘルスの危機的状況です。だからこそ、彼らはそれをビジネスモデルの中心に据えるのです」
「こうした野外プログラムは治療ではありません」
アペルゲートは、プロブレム・ティーン産業を構成するブートキャンプ、矯正学校、行動修正施設、野外セラピーキャンプについて、「こうした野外プログラムは治療ではありません」と断言する。このように考えるのは彼女だけではない。元参加者や学者、ジャーナリスト、医療専門家を含む人々からもプロブレム・ティーン産業に対する批判の声は高まりを見せている。アペルゲート自身も、教育コンサルタントの勧めでかつて同様のプログラムに送り込まれた元参加者の一人だった。「愛の鞭しかもう選択肢はない、これが標準的な方法だと自分に言い聞かせている状態でした」と、アペルゲートの父ディック・ゴクナウアーは語る。