問題を抱えた子どもたちが犠牲に。「プロブレム・ティーン産業」の闇
強制的な行動修正プログラムが持つ重大な欠陥
「問題は、このやり方には残酷さが必要だということです。しかし、人々をコントロールするのに良い方法だったため広まりました」。「シナノン」では屈辱や睡眠不足、隔離、沈黙の強要、重労働など、さまざまな形の「攻撃療法」を使用して、参加者を矯正しようと試みた。「基本的に、それは誰かに従わせることです」とサラヴィッツ。「カルトであれ、プロブレム・ティーンのプログラムであれ、それが真実です。彼らはトラウマに対処しようとはせず、親が見たい姿になるように子どもたちの行動を変えているだけなのです」 問題を抱えた子どもたちを治療するために、参加者を真夜中に誘拐し、強制的に施設に移送するなど、過激な手段を用いる小規模な産業が数十年にわたって形成されてきた。1970年代には連邦議会があるプログラムについて、「北朝鮮が使用する高度に洗練された洗脳技術に似た」方法を使用していることを指摘している。しかしそれでも「愛の鞭」の精神は存続し続けた。元ファーストレディのナンシー・レーガンはかつて、問題を抱えた若者に対して様々なプログラムを提供する複合会社「Straight Inc.」が彼女のお気に入りの反薬物プログラムであると公言していたほどだ(このプログラムは論争を呼び、1993年に閉鎖された)。今日、この10億ドル規模の産業では世界中の5,000を超えるセンターに約12万人の子どもたちを収容していると推定されている。
増え続ける“治療するべき”病
この業界が成長するにつれ、“治療するべき”病の数も増え、薬物やセックスを試すことから、権威に対する反抗、注目を浴びようとする行為まで10代にありがちなあらゆる行動が、矯正しなければならない対象として病理化されていった。 「Menninger Clinic」の研究主任でベイラー医科大学の准教授であるミシェル・パトリキンは「親は自分に問いただしてみるべきです。あなたは自分の不安や心配を治療しているのか、それとも子どもの実際の問題を治療しているのか?」と指摘する。 こうした不安は、現代においてより深刻化している上流階級特有の社会的プレッシャーによって増幅されている。「親たちは以前の世代よりもティーンエージャーの行動を心配している」と、「Child Mind Institute」の広報および教育担当部長、デイブ・アンダーソンは言う。「ティーンエージャーはSNSにどっぷりとはまって生活しており、親たちは彼らの行動のちょっとしたしくじりが大学進学や就職に悪影響を及ぼすと考えています」