問題を抱えた子どもたちが犠牲に。「プロブレム・ティーン産業」の闇
親たちもある意味カルトに加担している状態
サラヴィッツは「親たちもある意味カルトに加わってしまっている」と指摘する。多くのプログラムでは親たちの参加を促すセミナーを開催し、誰かを紹介した場合、治療費の割引や無料提供を約束している。「もちろん親の大半は子どもが虐待されることを望んでいません」と彼女は言う。「彼らは善意でやっているだけで、それが有害だとは知りません」 もうひとつの複雑な要因は、入院施設の医師が、たとえそれを裏付けるエビデンスがなくても、入院プログラムが子どもにとって最善であると心から信じているかもしれないということだ。「メンタルヘルスには主観性という問題がつきまといます」とパトリキン。 さらに、ティーンエイジャーがプログラムでの経験について親に不満を訴えた場合、それは主に治療を減らすのではなく、もっと治療が必要であることの証拠として使われてしまっている。「帰宅後の家庭での生活や行動に関するガイドラインは必ず用意されています」。アペルゲートは、ティーンエイジャーが入院治療コースを終えて家に帰ったときに何が起こるかを述べる。「その“ホームプラン”には子どもが施設での虐待を訴えた場合、それを信じないよう親を準備させる内容も含まれています。そして、子どもが再び問題行動を起こした場合、彼らは施設に戻されます。親も被害者なのです」
被害者の一人として声を上げるパリス・ヒルトン
寄宿学校で虐待を受けてから数十年後に両親にその事実を打ち明けたパリス・ヒルトンは、「両親は自分たちが騙されて、操られていたことにとても悲しんでおり、恐怖を感じています」と語る。 表面的にはプロブレム・ティーン産業は、治療と厳格な規律基準を独自に組み合わせて、子どもたちの健全な未来を築くことを約束する。しかし、こうしたプログラムに参加した多くの子どもたちは実際には症状を悪化させるだけの軍隊的虐待を受けているだけだ。 パリス・ヒルトンは「朝の4時半に2人の大男が部屋に入ってきて、手錠をかけて『楽な道を選ぶか、それとも厳しい道を選ぶか』と訊かれました」と回想する。彼女はユタ州のキャンプで裸体検査や攻撃療法、睡眠不足、監視付きシャワーを経験したという。「自分が誘拐されたのだと思いました。それ以来、ひどい悪夢にうなされています」 写真/児童虐待と、集合施設に入れられた子どもたちを保護する権利法案の制定に関して、米国議会議事堂の外で演説するパリス・ヒルトン。2021年10月20日。