BtoCとBtoBでは「UXリサーチ」どう違う? マネーフォワードが実践する「顧客体験の改善手法」
こうした工夫を凝らしたのが、以下の設問例である。「営業支援ツールを利用する理由として大事なものはなんですか。自由に記述してください」ではなく、設問を用意して「大事なものから順番に3つ選んでください」としているあたりは、まさに工夫だ。
BtoBサービスの改善にあたってのアンケートでは、業務の規模感を確認するのも重要だという。携わる人数であったり、週にどれくらの時間をかけるのか。また、抜け落ちやすい項目として頻度がある。週に1回なのか、年に1回なのかで全く意味合いが違うためだ。 なお一般的なアンケートではサンプル数の多さが重要だが、BtoBでは30件程度あれば十分だという。 ■ 2. インタビュー アンケートで仮説が立てられたら、次はインタビューだ。個人の意見を掘り下げ、さらには仮説に対する根拠にもなっていく。
インタビューは実施にあたって入念な準備を行う。インタビューの目的に加えて、アンケートから導き出した仮説から、どの部分が情報不足なのか洗い出し、かつ優先順位も付けておく。
アンケートで、熱量の高い回答をしている人がいれば、インタビューに招くべきだという。また質問者側はリハーサルも行った方がよい。
実際にインタビューで聞くような設問は、たとえば以下のようなものになる。「想定フローで間違いないか?」というのは、立てた仮説が正しいかどうかの検証、という意味でもある。
インタビューで注意すべき点として、あいまいな質問をしないことだという。 ┌────────── 『○○という問題があると思うんですが、どうですか?』と聞けば、それは『言われてみればそうです』と答えてしまう。これでは一種の誘導尋問だ。『□□という状況で、△△というポイントで困っていることはなんですか』というように、ポイントを深く絞ってきけば有益な回答が得られる(古長氏) └────────── 身近な数人に聞いて満足してしまうことも注意すべき点だという。また、疑問点を聞くだけのヒアリング止まりになってしまうのも、よくある失敗だ。回答者側があまり理解しないままでは回答も曖昧になる。改善した業務をしっかりイメージできるレベルで、質問者・回答者の意識を合わせるべきだ。 より具体的な質問方法のポイントとして挙げられたのは、以下の4つである。 1. 誘導型の質問はしない 2. 1つの質問に2つ以上の要素を入れない 3. ユーザーに何が必要か聞かない 4. 一般論ではなく実体験から聞く 上記の「ユーザーに何が必要か聞かない」とは、たとえば「どんな機能が欲しいですか?」と聞けば、回答者は無理矢理でも答えを捻り出す。つまり、不必要な機能を必要だと言ってしまう可能性が高い。「一般論ではなく実体験から聞く」とは、つまり「普段何で困っていますか」ではなく、「先月の月末の締めで困ったことはありましたか」と聞く方がより良いという意味だ。 BtoCでは「オープンクエスチョン(はい・いいえではなく自由に回答してもらうこと)」は有効だが、BtoBではオープンクエスチョンを意識しすぎず、超具体的に仮説をぶつけて“違う”の回答を引き出し、その理由を詳しく聞いていくことが理想。そのため、事前の業務把握をしっかりして、仮説設定も慎重になるべきだという。