BtoCとBtoBでは「UXリサーチ」どう違う? マネーフォワードが実践する「顧客体験の改善手法」
・BtoC向けと比べて、ユーザー数が相対的に少ない ・よって、スコープを絞ったリサーチ設計・計画をしたほうが効率がよい。たとえば経理ソフトを開発するとしたら、従業員全員にリサーチする必要はなく、経理担当者だけに絞ってのリサーチにも十分意義がある ・最終的に評価されるのは業務効率化や売上向上への貢献度であって、製品・サービス利用者レベルの満足度だけではない
広くリサーチするのがBtoCとするなら、限定的なのがBtoBである。ちなみに「リサーチを行ってもどれくらい効果があったかわからない」といった声は良く聞かれるがBtoB領域では、「経費の削減率や売上が評価対象なので、むしろ数値化はしやすい」という。
もしUXリサーチをせずに、製品開発や要件定義を進めると顕在ニーズのみで設計され、潜在ニーズ・根本の課題を見過ごす結果になる。
UXリサーチで重要な3つのステップ
古長氏によると、BtoBにおけるUXリサーチには行うべき順序があるという。潜在ニーズがいかに大事とはいえ、顕在ニーズを無視していきなり深掘りするのは失敗のもと。BtoBリサーチにおける3ステップを個別に見ていこう。
■ 1. アンケート 顕在ニーズの把握には、まずはアンケートから実施する。リサーチでは、「仮説を立てる」ことが重要であるが、ある程度データが貯まっていないと仮説自体が立てられないからだ。
アンケートの実施にあたっては、ターゲットから考える。BtoBの場合、「サービスを使う現場担当者のミスが多い」「上長の承認で処理が滞っている」「書類の指し戻しが多い」などの課題が実際にあれば、対象部門の承認者に対して聞く必要も出てくるだろう。
古長氏は「アンケートですべてを知ろうとしない」ことがポイントだと強調する。最近ではGoogleフォーム機能を使って簡単にアンケートを実施・集計できるが、手間と感じれば精緻な情報が集まらなくなる。設問は最小限にして、簡単に回答してもらう工夫をするのがアンケートのコツだという。 回答されやすいアンケート設問の7ポイントは、以下の項目だ。 1. 設問は多くても10問程度を目安とする 2. 不要な段階質問はせず一度に聞く(YES/NO設問は不要) 3. 選択式の設問を中心にする 4. あいまいな選択肢は排除する 5. 設問文や選択肢文は短くする 6. 自由記述は回答がシンプルに済むものにする 7. あえて課題の解決方法を質問し、熱量のある人を探す