コーヒーから切り替えたくなる、お茶ならではの健康上の長所とは、脳の健康に期待の成分も
緑茶や紅茶それぞれに多い抗酸化物質とその働き、コーヒーとの違いはカフェインの量だけではない
コーヒーとお茶は世界で最も人気が高い飲み物であり、それにはもっともな理由がある。複数の研究によれば、コーヒーやお茶を定期的に飲む人は、そうでない人より長生きし、健康上の問題も少ないという。コーヒーはその力強い風味と活力を与える刺激で注目を浴びることが多いが、お茶も独自の成分で落ち着いた集中力を促し、コーヒーに負けない存在感を示している。ここでは、次の一杯にはお茶を選ぶべきかもしれない理由を紹介しよう。 ギャラリー:1杯1万円にも、ジャコウネコなどの糞で作るコーヒーの「闇」 写真6点
カフェインが少なく、副作用が少ない
お茶に切り替える価値がある主な理由の一つは、含まれるカフェインの量がコーヒーに比べて少ないことだ。カフェインは集中力と覚醒度を高めてくれるが、神経過敏、不眠、さらには動悸など、過剰摂取による副作用がメリットを上回る場合もある。 米食品医薬品局(FDA)はカフェインの摂取量を1日400ミリグラム以下に抑えるよう推奨しているが(編注:日本では具体的な目安は設定されていないが、厚生労働省などは過剰摂取に対し同様の注意喚起を行っている)、年齢、性別、遺伝、服用している薬によっては、カフェインにより敏感に反応する人もいる。 「実際のところ、コーヒーを避けたい主な理由はカフェインの副作用です」と米クリーブランド・クリニックの登録栄養士アレクシス・スパン氏は話す。 お茶が真価を発揮するのはここだ。お茶は種類にもよるが、カップ1杯当たり20~60ミリグラムのカフェインが含まれている。一方、コーヒーのカフェイン含有量は1杯当たり80~100ミリグラムだ。 ハーブティーは天然のノンカフェイン飲料であり、リラックス効果もある。例えば、カモミールは鎮静効果で知られており、ルイボスは抗酸化物質が豊富だ。
抗酸化物質の宝庫
コーヒーもお茶も、健康を促進する植物由来の生物活性物質を豊富に含んでいるが、特に多様な抗酸化物質を含むという点で、お茶は際立っている。フラボノイド、ポリフェノール、カテキンなどの抗酸化物質は心臓病、糖尿病、特定のがんのリスクを下げることがわかっている。 例えば、緑茶には、細胞の健康をサポートし、老化を遅らせる可能性がある抗酸化物質のEGCG(没食子酸エピガロカテキン、エピガロカテキンガレート)が特に豊富に含まれている。一方、紅茶は、心血管系の健康をサポートするテアフラビンという物質の宝庫だ。 「果物や野菜を食べると、生物活性物質を摂取できるため、健康に良いのです」とオーストラリア、ニューカッスル大学の栄養研究者エマ・ベケット氏は話す。「お茶やコーヒーを入れるとき、細かくした植物素材に熱湯を注ぎます。すると生物活性物質をとても効率的に抽出でき、素早く体内に取り込むことができます」 つまり、毎日選ぶ飲み物も、健康に良い物質の有力な摂取源になり得るということだ。「もし野菜が嫌いであれば、お茶は果物や野菜に含まれるような生物活性物質の摂取に最適です」とベケット氏は助言する。 研究によれば、慢性疾患のリスク低減や長寿など、お茶を飲むことの健康効果の多くは、これらの生物活性物質のおかげかもしれない。「お茶をよく飲む人々は長生きで、より健康だという事実にも納得できます」とベケット氏は述べている。