職場の健康診断 毎年受けるのはなぜ? 自営業者やフリーランスは自治体で…医療費は3年連続最高を更新
社会保障のきほん
身近な「社会保障」に関するテーマを、Q&A方式で分かりやすく解説します。 【写真3枚】感染症にかかるのを防ぐのに役立つレシピ
会社側に実施義務
Q 職場で毎年、健康診断を受けています。なぜですか。 A 病気の早期発見のため、身長や体重を測定し、尿検査や血液検査などを受けます。会社員など雇われて働いている人は毎年1回は健診を受けているはずです。法律で会社側に実施が義務づけられているからです。自営業者やフリーランスで働く人など職場で健診を受けられない人のためには、自治体が健診の機会を提供しています。国民健康保険の加入者で39歳以下の人のほか、75歳以上の後期高齢者が対象です。
Q メタボ健診というのも聞いたことがあります。 A 特定健康診査(特定健診)ですね。40~74歳を対象に自治体が行っています。会社員の場合、40歳になると職場の健診に、特定健診の検査項目が加わります。血糖値や肝機能なども調べることで、生活習慣病のリスクとなるメタボリックシンドロームに早めに気づいて、予防をしてもらう狙いです。 Q 生活習慣病とは何ですか? A 運動不足や喫煙、飲酒などが発症に関わるような病気です。厚生労働省の2023年の人口動態統計によると、日本人の死因の1位はがんで24.3%、2位は心疾患で14.7%でした。脳血管疾患(6.6%)と合わせて、3大生活習慣病と呼ばれ、死因の約半数を占めています。 Q 予防するにはどうすればいいですか。 A 栄養バランスのとれた食事や、質の良い睡眠、運動習慣を身につけることが重要とされています。メタボ健診の結果、生活習慣病のリスクがあると判断された人は、保健師や管理栄養士などから、生活習慣の改善に向けたサポートを無料で受けられます。
健康意識が向上
Q やはり健診は受けた方がいいのですね。 A 健診を受けていない人に比べ、かかる医療費が低い傾向にあると分かっています。自身の体の状態を把握すると健康意識が高まり、生活習慣を改善しようと努力するためとみられています。厚労省によると、23年度に病院などに支払われた医療費(概算)は47.3兆円で前年度より2.9%増加し、3年連続で過去最高を更新しました。健診結果を生かして自身の健康を守ることは、医療保険制度の維持にもつながります。