ソニーの超レアメディア「MICROMV」を絶滅メディア博物館で触る
なるほど! 川井:「お前はそこで、俺が来るのをずっと待っていたんだろう」って。 そしてこの絶滅メディア博物館に華やかに展示してもらえるという。素晴らしい(笑)。しかも個別の製品にテプラで発売年が貼ってあったり、細かい工夫が。 川井:そう、分類したり展示のやり方を考えたりしていると、面白くて止まらない(笑)。この大手町の物件は昔はインテリアショップだったので、棚も照明もすごくいいんですよね。棚、イタリア製ですよ。 棚も飾り方もきれいなので、ジャンクに見えませんよね。 川井:逆に言うと、ただ置いただけでは廃棄物に見えちゃうんですよ。 ジャンク売り場から救出して、これだけきれいにディスプレイしてもらえたら、デジカメたちも幸せそうです。 川井:「ほら、同級生がいっぱいいるだろう、ゆっくりお話しすればいいよ!」って、「きみたち、当時はライバルだったかもしれないけどね」と言って。まあ、だから『トイ・ストーリー』です(笑)。 うまいこと言いますね。 ●カメラは「ハレ」のアイテム、ポジティブさの証し 川井:あとね、展示品としてカメラが魅力的なのは、カメラというのは当時はけっこう高いものじゃないですか。それを買うということは、子どもが生まれたとか、小学校に入学するとか…… 人生のハレの場、記憶として残したいタイミングに買うんだ。 川井:そう、「撮りたい」対象があるという愛情デバイスだから、その個人の幸せな記憶と結びついている。パソコンはちょっと多用途すぎて、並べたときにそういう色気が出ないんですよ。 だからカメラは、ポジティブな気持ちと愛情の証しなんですよね、大枚はたいてカメラを買うという、行為そのものからして。特に動画はスチルカメラとはまた違う。スチルよりだいぶ高かったでしょう、動画のカメラは。 ですね。運動会だ、学芸会だ、入学式だっていう、ハレの中でもハレの日のためのもの。 川井:まさにそう。あるいは旅行。「初めての海外旅行だからパスポートサイズハンディカム、買おう」とかね。そこが並べているとぐっとくるんですよね。 この博物館の魅力がだんだん分かってきたような気がします。 川井:そんなことを思いながら、僕もずっとこの席で、うーん、どういう棚割にしようかなとか、あいつはどこにまとめようかなとか考えているんだけど、楽しいんですね、これもまた。 いや、それはそうですよ。できることなら自分が手に入れたヤツで同じことをやりたいですもん。 川井:そんな方のために、ここに自分のボックスを持ちませんかと、そういうビジネスも考えているわけです。この博物館を自分のコレクションを見せる場所として、月おいくらかで借りていただいて、知り合いを呼んで、ここでオフ会をやればいいじゃないですか、と。 いや、それいいですね。きっと話が止まらなくなりますね。その際はぜひ、『ソニー デジカメ戦記』も資料として使っていただきたいです(笑)。
山中 浩之