ソニーの超レアメディア「MICROMV」を絶滅メディア博物館で触る
スマホと違ってボタンやスイッチがあるからでしょうか? 川井:「ただ動画を撮るだけの機械にこんなにボタンがいっぱい付いている!」みたいな、意味分からないけど、楽しい、そんな感じ。 ノートにそんな気持ちを書いていってくれるんですね。 そういえば、石塚さんがつくった初代「デジタルマビカ」を、海外の方が「これ持っていた!」と喜んで触っていましたよね。 川井:楽しそうでしたね(笑)。 ●ジャンク品だから触って楽しめる しかし中古カメラに人気が出て値上がりしてくると、博物館の収集に支障が出ませんか。 川井:うちの展示品は自由に触ってもらうこともあって、不動品をハードオフで買うので、まあ被らないとは思うんですが。 手に取って触ってもらうなら、ジャンクで動かなくてもいい、というところは卓見だと思います。よくひらめきましたね。 川井:そうですね。僕もやっぱり触って楽しいし、見るだけじゃなくてスイッチとか押してみたいですよね。カメラも携帯も、触ってナンボです。その点ではスマホやタブレットは電源が入っていない状態で触ってもつまらないんです。 デジカメもカムコーダーも、触るとやっぱりぼろぼろ壊れるんですよ、古いですから経年劣化で。でもそれももともとはジャンクで誰にも知られずに捨てられる運命だったものですからね。 そうですよね。ちなみに博物館の総投資額ってどれぐらいになるんですか。 川井:どれぐらいですかね。まあ、所蔵品の収集だけなら40万~50万円じゃないですか。年始年末だけで50店舗、回っていますから、ハードオフとか。 50店(笑)。 川井:うん。車、友人に出してもらって、わーっと回るんですよ。 1日何軒も。 川井:まあ、1日に7~8軒が限度ですね。1店で40分ぐらいかかるので。あらゆるジャンクボックスから文化財を保護していくという活動を。 私も嫌いじゃないのでハードオフ、通りかかると行くんですけど、気持ちがどよんとしてくるんですよね。役目を終えた、終えさせられた「つわものたちの無念」が漂っているような気がして……。 川井:ああ、どよんと。僕はね、逆なんです。「よくぞお前、そこで待っていたな」と。