このままでは怖いマイクロプラスチック 知らないうちに拡散する脅威の源
プラスチック製ストローやめます――。こんな動きがにわかに世界で広がっています。アメリカのコーヒーチェーン大手のスターバックスは7月9日、2020年までに全世界の約2万8000の店舗でプラスチック製ストローの使用を廃止すると発表しました。米アメリカン航空も同様の方針を明らかにしています。 【写真】このままでは怖いマイクロプラスチック(後編)生活の中で対策するヒント 欧州連合(EU)では5月、皿やストローなど10種類の使い捨てプラスチック製品を対象に、それらの使用を禁止する新たな規則案を発表しました。この案では、代替素材に切替えられるプラスチック製品の使用を禁止するほか、2025年までに使い捨て飲料容器の90%を回収することの義務付けなどが盛り込まれています。さらに昨年末には、中国政府が廃ペットボトルなどのプラスチックごみの輸入を禁止しました。 こうした世界的なプラスチック規制の動きの背景にあるものとは、「海を漂うプラスチックごみ」の問題です。
小さくなっても消えてなくならない
私たちの生活に欠かせないプラスチック製品。これには、ペットボトルのような硬いものから、レジ袋や発泡スチロールのように柔らかいものまで形や種類はさまざまです。日本では、それらは資源ごみとして捨てられた後、適切に回収され、一部はリサイクルされて新しいものに生まれ変わります。しかし、そのすべてがうまく処理されているわけではありません。実はペットボトルをはじめとするプラスチック製品の多くが、何らかの形で海に流れ出しているのです。 日本ではプラスチックごみが路上に落ちている印象はそれほど強くないかもしれません。ですが、実際に見て驚いたのが下の写真です。1年以上前、プラスチックごみの問題に関心を持ったころ、「ちょっと見に行ってみよう」という軽い気持ちで、日本科学未来館(東京・お台場)からほど近い海岸で見つけたのが、この写真の光景でした。
やはりペットボトルが目立ちますが、レジ袋や発泡スチロールなど実にさまざまなプラスチックごみが集まっています(この場所は今では清掃され、とてもきれいになっています)。よく見ると、大きなプラスチックごみの間を埋めるように小さなごみが広がっているのが分かります。 これらは、もともと大きかったプラスチックゴミが紫外線などでだんだんもろくなって砕け、小さくなったものです。そのうち、5ミリ以下のものは「マイクロプラスチック」と呼ばれます。プラスチックは小さくなっても消えてなくなることはありません。これが、ごみとして海に流れ出てしまったプラスチックのやっかいなところなのです。