トートバッグ、仕事用にできるのは? スーツには縦型推し…横型は着こなしでキメる
連載《メンズスタイルブック》
荷物を出し入れしやすく、手持ちも肩がけもサマになるトートバッグ。もとはカジュアル用途のカバンですが、ビジネススタイルの多様化に伴い、今ではすっかり仕事カバンの定番ジャンルとなり、素材もデザインもさまざまなタイプが店頭に並んでいます。 【写真はこちら】「上質感」の秘密は…セラピアンの縦型、横型、バックパックを全部チェック! しかし街を見渡すと、服の雰囲気といま一つマッチしていないトートをお持ちの人も結構いるような……。そこで今回は気鋭のスタイリスト四方章敬(しかたあきひろ)さんに、今どきのスーツやセットアップに合うトートの選び方を聞きました。
■仕事用のトート、「上質な素材感」が大事
欧米ではトートバッグにフェミニンなイメージを持つ人が多いようで、日本のようにビジネスマンが持つ姿はあまり見かけません。だからブランドによっては、日本市場向けにわざわざトートを展開しているところもあるほどです。 なぜ日本ではこれほどトートが支持されるのか? 四方さんは、収納力の高さや荷物の出し入れのしやすさといった利便性に加えて、今の日本のビジネスマンの装いに幅広くマッチするからだと分析します。 「いつもカッチリした仕立てのスーツを着ている人には、ブリーフケースが一番似合うと思います。でも最近のスーツは副資材を極力廃した軽快な仕立てのものが主流。大半のビジネスマンは、そうした軽快なスーツスタイルを軸に、その日の仕事内容によって、よりカジュアルなジャケパンやセットアップで通勤しているのではないでしょうか。そういう方々にはブリーフケースより、むしろトートのほうが似合う。だからトートを選ぶ人が多いのだと思います」 とはいえ、街中では装い全体の雰囲気とトートが合っていないケースも目に付きます。トート選びのコツはどこにあるのでしょう。 「一番気をつけたいのが素材感です。たとえばスーツやジャケットが上質なウール素材だった場合、スポーティーなナイロン素材のトートを合わせるとどうしてもチグハグな印象になります。メイン素材にレザーを使用したものなど、トートの中でもなるべくドレス度の高いものを選ぶようにしましょう。そういうタイプであれば、逆に装いがややカジュアルな場合でも、スタイルをシックに締めるポイントになってくれます」 続いて四方さんはデザインやカラーにも注意すべきだと言います。 「なるべくシンプルなデザインで、色合いはダークなものが使いやすいでしょう。通勤の時などに肩がけすることも考えているなら、ハンドル(持ち手)の長さが肩を楽に入れるのに十分かどうかもチェックしてください。最近のトートには着脱可能なショルダーストラップが付属しているものがありますが、そういうタイプで格好よく持てるものは少ないです。着目すべきなのは、ショルダーストラップの有無ではなく、ハンドルの長さです」