眠っている「自分の本心」を目覚めさせる方法は?
フィガロジャポンは、フランスの「アール・ドゥ・ヴィーヴル(Art de Vivre)」という考え方を大切にしています。自分の感性をもとに知恵と工夫を凝らして何気ない日常を楽しくするーー「暮らしの美学」とも訳されるこの考え方は、国を超えて、すべての人の中にあり、その人の生き方を豊かにするものです。 そんなアール・ドゥ・ヴィーヴルについて考える新連載「アール・ドゥ・ヴィーヴルを探す旅。」(全4回)。プロフェッショナルコーチの畑中景子さんと一緒に、人生を豊かにしてくれる、あなただけのアール・ドゥ・ヴィーヴルを探してみませんか?
自分に素直になる、ということ。
文/畑中景子 前回の記事では、アール・ドゥ・ヴィーヴルに正解や間違いはなく人それぞれのもの、自分で見つけて創り続けていくもの、というお話を書きました。また、頭と身体を緩める宿題もお渡ししてみましたが、やってみていただけたでしょうか? 今回から、自分のアール・ドゥ・ヴィーヴルを見つけていくことを始めてみたいと思います。 ここから一緒にやってほしいことを案内していきますが、その前に大事なお願いがあります。それは、「自分に素直になって」やってみてほしいということです。別の言葉で言うなら、「自分に嘘をつかないで」。 不思議なもので、私たちは、本当はあまり心が動かされていないのに好きだと言ってみたり、実は感動で心が震えているのに「そうでもない」という風に振る舞ったりすることがあります。 ここから先のことは誰かに見せたりする必要はありません。ぜひ、自分自身のために、自分に誠実でいてください。
好きなことや、心惹かれるものは?
アール・ドゥ・ヴィーヴルとは、自分は「どうありたいか」ということではないかと思います。たとえば、どんな雰囲気で、どんな気持ちで毎日を過ごしたいか。どんなものに囲まれて、どんなテンポで暮らしたいか、など。 けれども、これをそのまま問われて、答えがすらすらと出てくる人は少ないと思います。なので、まずは自分の感性と繋がるところから始めてみましょう。忙しい日々の中で感覚が眠ってしまっている方は、それを目覚めさせるところからですね。 まず、ペンと紙を用意して。「好きだと感じる」または「心惹かれる」もの・こと・人などを、なんの制限も設けずに、自由に思い浮かべてみてください。そのことを思うと、ワクワクしたり、楽しみになるものです。そしてそれらを、できるだけたくさん、縦方向に書き出してみてください。50個以上を目指してみましょう。 ここでの目的は材料集めなので、質より量です。100%好きかどうか吟味せず、少しでも惹かれるものは書き留めてください。 幼少期~学生時代~社会人~現在と、それぞれの時代を振り返ってみると始めやすいかもしれません。小さい頃の宝物、楽しかった体験、ハマっていたことなど、懐かしむように思い出してみてください。もう興味は薄れていても、一度は好きだったなら、とりあえずは書いておきましょう。 まだやったことがないこと、行ったことがない場所、会ったことがない人なども、憧れるものは書き足しましょう。あきらめてしまっていたことも。 どれも、あなたが惹かれるなら、あなたにとって大事なことです。どれが良くてどれがダメとか、そういうことはありません。 また、好きなものは好きでよく、そこに論理も正当化も必要ありません。心が躍るなら、理由はそれだけで十分です。