舗装の下から線路が!56年ぶりに出現した「都電の遺構」 東京都内には鉄道の遺跡が数多く眠っている
新宿区と文京区の区境を流れる神田川では、災害に強い河川とするため、2023年10月から2027年2月にかけて、護岸工事が実施されている。神田川にはいくつもの橋が架かっているが、そのうちの一つ「白鳥橋」は洪水に対する安全性を確保するため、桁下を上げる必要があり架け替えを実施することとなった。 【写真を見る】舗装の下から56年ぶりに出現した「都電の遺構」。溝付きのレールと敷石がいかにも路面電車らしい。新宿駅前から出ていた系統が廃止された日の作業風景も ■アスファルトの下からレールと敷石が出現 白鳥橋は1936年に設置され、約90年もの歴史を持ち、近隣住民からも親しまれた思い出の橋でもあることから、2024年8月3日にお別れ会も開かれ、人々に最後の姿を披露した。
その後、白鳥橋は架け替えのための工事が始まったが、舗装のアスファルトを撤去すると、かつてこの橋を渡っていた都電のレールと敷石が出現し、大きな話題となった。 【写真を見る】舗装の下から56年ぶりに出現した「都電の遺構」。溝付きのレールと敷石がいかにも路面電車らしい。新宿駅前から出ていた系統の廃止日の作業風景も この橋を渡っていたのは早稲田と厩橋を結ぶ都電39系統で、目白通りから大曲で白鳥橋を渡り、春日町、上野広小路を経由し、厩橋に至っていた。白鳥橋上には「大曲」停留場が設置されていたが、狭い橋の上のためホームはなく、橋の欄干に電停名が掲げられていた。路線が廃止となったのが1968年9月29日なので、今回56年ぶりに線路が出現したことになる。
この都電の遺構は、10月15、16日に一般に公開され、2日間で約2000人が訪れた。ここで、この公開を行った東京都第六建設事務所工事課・河川工事担当者に、公開の目的や今後の処置について聞いた。 「白鳥橋撤去の手順は、まず照明や高欄等、橋梁付属物を撤去し、次にアスファルト舗装を、そしてコンクリートの床板、橋桁を撤去します。このアスファルトを除去した際にレールと敷石が出現しました。あえて一般に公開したのは、社会的関心が高いことを考慮したからです」