「努力が続かない=意志が弱いから」は間違いかも。経済学博士が教える“努力を仕組化する3つのコツ”
ダイエット中なのにケーキを食べてしまう。早朝から勉強したいのに起きられない……。 努力したい気持ちはあるのに誘惑に負けてしまい、努力が続かないという人は多いかもしれない。 【全画像をみる】「努力が続かない=意志が弱いから」は間違いかも。経済学博士が教える“努力を仕組化する3つのコツ” そんな人が努力を続けるためのコツを、『努力は仕組み化できる』(日経BP)を上梓した経済学博士・山根承子さんに聞いた。
行動経済学から「努力を仕組み化」する
山根さんは、行動経済学から考える努力が続く具体的な仕組みを3つレクチャーしてくれた。それぞれを詳しく見てみよう。 1. フィードバック 「努力」と聞くと、「つらい、楽しくない」というイメージを抱く人も多いだろう。 そもそも、努力はなぜつらいのだろうか。 山根さん曰く、新しいことを始めたばかりのときはできることが増えていく一方のため、楽しく努力を継続できる。しかし、一定のレベルに達すると成長を感じにくくなり、自分の頑張りを適切に評価できなくなるため努力が辛くなってしまうのだという。 そんなときにおすすめなのが、自分の頑張りを目に見える形にしてフィードバックすることだ。 「自分が毎日何をどれくらいやったか、記録をつけるのがよいでしょう。スマホアプリを使うのもおすすめです。私自身も記録をつけるのが好きで、これまでの経過を見返すとモチベーションが上がります」 2. フィードフォワード 過去を振り返るフィードバックに対して、未来の行動に対して行う「フィードフォワード」も効果的だ。 フィードフォワードとは「その行動をどれくらいやるつもりか」を先に決めておく方法。 それをより詳細にして「どこで、いつ、どのように行うか」をあらかじめ決めておくことを「実行意図」という。 「実行意図は習慣の形成に有効です。漠然と『今週はジムに行こう』と考えるより、『火曜日と金曜日はジムに行こう』と具体的に決めておくことで、習慣化もしやすくなります」 さらに「その行動を取らざるを得ないような状況を作り出す」ような工夫は「コミットメント」と呼ばれる。 「例えば、勉強をしたいのについスマホで遊んでしまうという場面では、スマホを持たずに図書館に行くという方法が挙げられます。『スマホを見たくても見られない』という状態に自分を追い込むことで、勉強に集中せざるを得ない状況を作り出せるでしょう」 3. 努力の自動化 努力を継続するのに意志力があてにならないのであれば、意志に関係なく自動で努力できるようになってしまえばいい。 山根さん曰く、先に紹介した実行意図を繰り返し行ううちに無意識にできるようになっていれば、自動化が成功したといえるという。 さまざまな行動が自動化されるまでの日数についての研究を見ると、どんなことでも2カ月継続することができれば、その行動は意識せずとも行えるようになっている可能性が高いとの結果もあるそう。 しかし、そこで問題になってくるのが「怠け心」の存在だ。イレギュラーな用事や旅行、生活習慣の変化などがあると、人はどうしてもサボりがち。そんなときはどうすればいいのだろうか? 「まずは自分がどんなタイミングで努力をやめてしまうのかを、知っておくといいでしょう。できなかった日は『なぜできなかったのか』を分析して記録しておくと、自分の傾向を知るのに役立ちます。 例えば、金曜日に飲み会に行くと土曜日にジムに通わなくなるということがわかれば、サボらないように、『金曜日は飲み会に行かない』などとあらかじめ手を打つことも可能になります。 最初のうちは上手くいかないものと割り切って、試行錯誤することが大事です」