フィアット600 詳細データテスト 500より増した実用性と快適性 フィアットらしい元気さは不在
制動距離
テスト条件:乾燥路面/気温10℃ 30-0マイル/時(48km/h):8.6m 50-0マイル/時(80km/h):22.7m 70-0マイル/時(113km/h):44.5m 60-0マイル/時(97km/h)制動時間:2.73秒 ■ライバルの制動距離 ルノー・メガーヌE-テックEV60テクノ(2022年) テスト条件:湿潤路面/気温14℃ 30-0マイル/時(48km/h):8.6m 50-0マイル/時(80km/h):23.0m 70-0マイル/時(113km/h):46.0m
結論 ★★★★★★★☆☆☆
フィアット600eの主要ミッションが、500eでは手狭になったオーナーへ、多少ながらゼロエミッションでの航続距離と室内スペースの増したクルマを提供することならば、一応は達成できている。 しかし、そうしたユーザーでも、キュートなルックスや2枚増えたドア以外に、フィアットらしいスタイルや魅力がどれくらい詰まっているのか、期待はするだろう。実際には、エモーショナルで主観的な部分ではとくに響くようなクルマではないので、デザイン物件やファッションアイテムとしてならともかく、本当に賢明なおすすめの選択肢とはなっていない。 やや物足りないEVパワートレイン、小さいが背の高いボディ、兄弟車との共通点が多い平均的なパッケージのインテリアなど、デザイナーやエンジニアが本当に作りたかった姿とはかけ離れているように思える。このプラットフォームでとりあえず仕立てたクルマという印象だ。 とくにケチをつけるところはないし、よくできたクルマだ。安価なEVとしては、歓迎されるだろう。しかし、フィアット車であるならば、もう少し元気があって、独創性と斬新さを感じさせるものであってほしかった。 ■担当テスターのアドバイス ◆マット・ソーンダース まるでそうしないとこれがフィアットだとわからないかのように、600の車名バッジがあちこちに散りばめられているが、そんなことはないので、無駄に思える。 ◆イリヤ・バプラート オン/オフを自分ですることに安心感を覚えるが、600eのスタート/ストップボタンはどうしてこんなに硬くて、しかも長々と押さなきゃいけないのか疑問だ。また、自動でない電動ハンドブレーキも、EVでは無意味に思える。 ■オプション追加のアドバイス エントリーグレードより上の車種を検討するなら、熟考すべきだ。ワイヤレス充電器や合成皮革トリム、リアカメラ、あまり使わない純正ナビの価格としては、3000ポンド(約60万円)は高い。 ■改善してほしいポイント ・モーター出力とバッテリー容量のアップを。できれば重量を増すことなく。 ・シフトパドルがないなら、エネルギー回生をコントロールできる実体デバイスを用意してもらいたい。現実的な経済性を高めてくれるはずだ。 ・500の楽しげなデザインを、もっとエクステリアに取り込んでほしい。もちろん、走りももう少し楽しいものになればありがたい。
マット・ソーンダース(執筆) イリヤ・バプラート(執筆) ジャック・ハリソン(撮影) 関耕一郎(翻訳)