フィアット600 詳細データテスト 500より増した実用性と快適性 フィアットらしい元気さは不在
快適性/静粛性 ★★★★★★★☆☆☆
フロントシートの快適さと後席の広さ、どちらもクラストップではないが、600eは乗員にとてもマイルドなツーリングをもたらす。市街地でも郊外でも、バンプをしなやかにいなし、ソフトだがダラダラして路面の変化で乗り物酔いを引き起こすようなものではない。 視認性は全方位とも良好で、テスト車は180度リアカメラも装備され、駐車がより楽にできる。 静粛性はクラス最高というわけではないが、価格帯を考えればそこは期待しないだろう。プライスの近いEVには、80km/h巡航で60dBA以下というものもあるが、600eは63dBAだった。113km/hでは67dBAで、ルノー・メガーヌE-テックの66dBAやスマート#1の65dBAにはわずかに及ばなかったが、キャビンで聞こえる風切り音やロードノイズはわずかだった。 ブレーキがもっとうまくチューンされ、よりプログレッシブで、摩擦ブレーキと回生ブレーキのブレンドがさらによければ、ジャンクションで同乗者の頭を前後させるような減速にはならなかっただろう。いっぽう、アシスト力がやや弱いステアリングは、コーナリングでスムースなライントレースを可能にする。とはいえ、全般的にはやはり快適志向だ。静粛性や広さでライバルに一歩譲っても、そこは間違いない。
購入と維持 ★★★★★★★☆☆☆
航続距離や効率、急速充電性能は、玉石混淆といったところ。現実的な状況でのテストでは、平均電費が5.5km/kWhだが、バッテリーの実用容量は50kWhをちょっと超えるだけなので、280km弱しか走れない。高速道路の速度域で、MG4やクプラ・ボーンのように320km走り切るのは無理な話だ。 低めの巡航速度を維持すれば、WLTP値の406kmに近づくかもしれないが、平均72kWの直流充電性能では、あまり遠出をしたい気持ちになれない。これまでテストした競合車は、最大30%くらい、600eよりいい結果を残している。
レイアウト
プラットフォームはステランティス最新のe-CMP2で、剛性を高める統合バッテリー設計を用いる。他励同期モーターはフロント横置きで、前輪駆動だ。 サスペンションはじつにシンプルで、フロントがストラット、リヤがトーションビーム+パナールロッド。前後重量配分は、実測で56:44だった。