日銀・黒田総裁会見7月15日(全文3完)2%インフレ目標も手段も適切
超長期債の金利が上昇傾向。どう見るか
日経QUICKニュース:日経QUICKニュースの井田と申します。簡潔に2点お伺いいたします。1点目です。債券市場について、前回、総裁は超長期の金利についてそこまで上昇しないというふうにお答えされていましたが、6月の会合以降も超長期債の金利は上昇傾向にあるかと思いまして、現在の水準についてもそこまで上昇していないとのお考えをお持ちなのか、それともお考えが変化されているところがあるのか、その辺をお聞かせください。 またもう1点目はETFの買い入れについてなんですが、足元の5月や6月の買い入れの額を見ますと、それほど年間12兆円のペースまでは買い入れが進んでいないように思うんですけれども、今回の決定でも当面12兆円のペースを上限にという文言が維持されておりますが、足元で買い入れの額が減っていても、この12兆円というある意味目標というか、上限の金額を設定することが必要だとお考えなのか、また、当面の12兆円から本来の年間6兆円っていう数字に戻すタイミングというか、その基準といいますか、そういったところの総裁のお考えをお聞かせいただければと思います。 黒田:まず第1点につきましては、2016年9月の総括的検証でもご指摘しておりますとおり、超長期金利の過度な低下というものは、保険や年金などの運用利回りを低下させて、マインド面などを通じて経済活動に悪影響を及ぼす可能性があると。こういった認識には変わりませんが、現在、感染症の影響で債券市場の流動性が低下している下で、国債増発が見込まれていることを踏まえますと、債券市場の安定を維持してイールドカーブ全体を低位に安定させるということが最も重要な状況にあります。このため、当面国債の積極的な買い入れを行うことが適当というふうに考えております。 2番目のETFにつきましては、そもそもリスクプレミアムの状況を勘案して、リスクプレミアムが過度に拡大することは良くないということで弾力的に対応しておりますので、12兆円を限度として弾力的に対応するという考えはまったく変わっておりません。