日銀・黒田総裁会見7月15日(全文3完)2%インフレ目標も手段も適切
国債買い入れは無限に増やせるのか
時事通信社:時事通信社の【ワタナベ 00:56:10】と申します。よろしくお願いします。1点お伺いします。前回の記者会見で総裁、国債の増発に関連して、増発した分については買い入れを増やして、金利が上がらないようにするというようなことをおっしゃいました。国債の買い入れというのはこのあとさらに増発が行われたときに、さらに無限に増やしていくことは可能なんでしょうか。あるいは国債の信認ということを考えた場合に、なんらかの限界があるんでしょうか。お考えをお聞かせください。 黒田:2016年の9月にイールドカーブ・コントロールというものを導入した以降、わが国の長期金利は0%近傍で安定しているということで、貸出金利も既往最低水準で推移しております。日本銀行としてはこの枠組みは極めて緩和的な金融環境をつくる上で、経済・物価を刺激する効果をしっかりと発揮してきたというふうに考えております。 その下で、政府が必要に応じて国債を増発した場合に、それによって金利が上昇するということがこのイールドカーブ・コントロールの下で防がれるということで、いわば財政政策と金融政策のポリシーミックスが自動的に実現されるということでありまして、それ自体、金融政策の観点から行っているイールドカーブ・コントロールの1つの効果であるというふうに考えておりまして、これが何か国債の信認とか、国債の買い入れを難しくするというようなことになるというふうには思っておりません。
インフレ目標、現実的なメルクマールが必要では
朝日新聞:朝日新聞の原です。2%インフレ目標について伺いたいと思います。黒田総裁の下で10年間やって、この2%目標はもうできないという予想を日銀自身がしているわけですけれども、10年やってできない目標というのは、目標そのものが間違っているか、手段が間違っているか、どちらかですが、これだけの金融緩和を、あらゆるさまざまな金融緩和手段を講じてきたわけですから、1つ目標が間違っていたという仮説が成り立つと思います。 今やっぱり現実的なメルクマールが必要ではないかというのは、そうでないと常に過度に金融緩和バイアスがかかってしまうというのが今現状だと思うんですけれども、もっと現実的なメルクマールというのを検討するお考えというか、今すぐ見直すお考えはないでしょうけれども、頭の体操をする可能性もないのかどうかというのをお伺いしたいと思います。 今、確かにコロナショックで現実はそういう状況ではないと思いますけれども、異常な事態だと思いますが、このパンデミックもこれからは10年に一度ぐらいある、想定できるリスクだという専門家もいますから、それも含めてやっぱり10年ということを考えて実現できない目標というのは見直すべきなんじゃないでしょうか。 黒田:私はまったくそういうふうに考えておりません。目標も適切ですし、手段も適切であるというふうに思っておりますが、さまざまな事情、状況によってこういう時代が続いていると。ちなみに多くの先進国でも2%の目標を維持していますけども、達成されてない状況が長らく続いているということは事実です。 朝日新聞:海外の中央銀行と共に見直すということを検討する、そういう可能性はありませんか。 黒田:まったくありません。 男性:ほかにご質問がございませんでしたら、別室からは以上とさせていただこうかと思いますが、よろしいでしょうか。それでは別室からは以上です。 司会:それでは幹事社さん、お願いいたします。 産経新聞:幹事社です。そろそろ時間なので、もしなければこれで終わりにしようと思いますが、もしあれば挙手していただけると。よろしいですかね。じゃあこれで総裁記者会見を終わらせていただきます。ありがとうございました。 (完)【書き起こし】日銀・黒田総裁会見7月15日