日銀・黒田総裁会見7月15日(全文3完)2%インフレ目標も手段も適切
イールドカーブ・コントロールの政府財政運営への影響は
司会:それではテレビ会議システムを通じて、もう1つの会議室から質問をお受けいたします。挙手いただけましたら広報課員が指名させていただきますので、前方のマイクでご発言ください。ご質問はございますでしょうか。 週刊エコノミスト:『週刊エコノミスト』の浜田と申します。よろしくお願いします。簡潔に伺います。日銀が行っているイールドカーブ・コントロールは政府の財政運営に影響を与えているのかどうか、総裁のご所見をお願いします。 黒田:従来から申し上げているとおり、イールドカーブ・コントロールっていうのは金融政策上の問題で行っているものでありまして、財政ファイナンスではありません。この点は広く理解されていると思っておりますので、イールドカーブ・コントロールに特にそういった問題があるというふうには考えていません。
米ドル資金供給オペ継続は必要か
日経CNBC:ありがとうございます。日経CNBC、直居と申します。一連の今回の施策の中で、初期の段階からありました、米ドル資金供給オペについてお聞きしたいと思います。かなりドル市場を巡る環境というのは落ち着いてきているようにも見え、日本以外のいろんな国でも、すでに新たな借り入れは終了しているようにも見えます。どうでしょうか、まだこの米ドル資金供給オペの継続っていうのは必要な状況なのでしょうか。その辺りのご所見をお聞かせください。 黒田:基本的にこういったバックストップっていうか、セーフティネットのようなものですけども、これは必要性は今後とも残っているというふうに思っております。いずれにしてもわが国の金融機関のドル資金繰りに特段の問題は生じていないわけですけれども、わが国の銀行などが海外での事業をかなり拡大してきたわけでして、そうした下で海外における取引先企業の資金需要に応える必要性が高まったっていうことで、さらには一時、ドル資金調達市場でやや神経質な動きが見られたっていうこともあって、ドルオペも活用しながら予防的に厚めの外貨流動性を確保するように進めてきたんだろうというふうに思っております。 先ほど来申し上げているとおり、こういったバックストップが必要だと思いますし、必要に応じて積極的に利用すること自体はなんら問題ないと思いますけども、わが国の金融機関も一時、非常にたくさん、このドルオペの残高を増やしていましたけども、今たぶん半減してるんじゃないかと思います。そういう意味では、ですから緊急的に非常に大きく拡大したものは収束に向かっていますけども、ただ、こういったバックストップのシステムは必要であるというふうに考えております。