本当は自分の子供ではないとわかっているのに…磯野貴理子が「何だか切ない」と思った親鳥の習性とは?
趣味のバードウォッチングが高じて、2年前に「日本野鳥の会」に入会したタレントの磯野貴理子さん。 愛読書のひとつが、日本鳥類保護連盟の評議員を務めた柴田敏隆さんの『カラスの早起き、スズメの寝坊:文化鳥類学のおもしろさ』(新潮選書)だという。 その磯野さんにバードウォッチングの魅力や日本野鳥の会で学んだこと、そして愛読書で衝撃を受けた「あなたの愛鳥度テスト」について聞いた。 *** ――磯野さんにとってバードウォッチングの醍醐味とはどういうところでしょうか? 美しい声で鳴いたり、仲間同士でじゃれ合っていたり、喧嘩をしたり……そういう鳥たちの姿を見ているだけでも時間が経つのを忘れてしまうほど楽しいですが、個人的に一番心が惹かれるのは、やはり親鳥が一生懸命にヒナを育てている姿でしょうか。 去年の暮れに宮城県伊豆沼に大陸から飛んでくるマガンを見に行ったのですが、親は子供が稲の落穂を食べているときに外敵がこないか、ずっと周囲を見張っているんですね。そんな自然の中で健気に生きる鳥の姿に心打たれます。 また、柴田さんの『カラスの早起き、スズメの寝坊』でも紹介されていますが、エナガという野鳥は集団で共同育雛することで知られています。4月上旬から5月初旬あたりにエナガの巣のそばで、巣立ち前のヒナが何羽も仲良く団子のようにくっつきあっている姿が見えます。いつか写真に撮ってみたい光景です。……その姿が本当にかわいいんです。 一方で、人間が簡単に感情移入できないような場面に出くわすこともあります。たとえば、カッコウなどに見られる習性ですが、他種の鳥の巣に卵を産みこむ「託卵」があります。自分の子供ではないのに、親鳥は一生懸命エサを運んでくるんですね。あれは、親鳥の方も本当は自分の子供ではないとわかっているそうです。でも、雛が口を空けている姿を見ると、本能的に餌を与えることを拒否できない……何だか切なくなってきます。 それとは逆に、自分の子供であっても、成長する見込みがないと判断した弱いヒナには、わざと餌をやらない、さらには、巣から突き落とす、なんてこともある。そんな自然の厳しい一面も鳥の世界にはあって、それはそれで深く心が揺さぶられる思いがします。