本当は自分の子供ではないとわかっているのに…磯野貴理子が「何だか切ない」と思った親鳥の習性とは?
――自然のルールは弱肉強食ですから、バードウォッチングも「ほのぼのとした世界」を見るだけでは済まないのでしょうね。 この前、クマタカの写真を撮ったんですけど、縞々の尾羽根とか、本当に美しい。自分の写真を見て、一人でにやにやしているんですが、タカとかワシなどの猛禽類は、やはり小鳥とは違って鋭い目つきをしていますね。 ハイタカという、ハトくらいの小柄な鷹がいますが、シジュウカラなど他の小鳥を主食にしているんです。柴田さんの本には、ハイタカ1羽が生存し続けるためには、1年間に779羽のシジュウカラを捕食しなればいけないと書いてあって、びっくりしました。 さらに驚いたのは、そのシジュウカラも1年間に12万5000匹の松尺取蛾の幼虫を食べる。ということは、だいたいハイタカ1羽で1億匹の幼虫が必要になる計算です。そして、この1億匹を養うためには、420ヘクタールの森がいるというのですから、食うか食われるかの食物連鎖の中で、鷹のような猛禽類が生き延びるには、膨大な生命とエネルギーが必要なことがわかります。 ――ハイタカに襲われているシジュウカラを見たりしたら、思わず助けたくなったりするんじゃないですか? それについては、柴田さんの本で紹介されていた、日本鳥類保護連盟の「あなたの愛鳥度テスト」が参考になります。小鳥の雛が蛇に襲われそうになっているとき、どうすべきかという質問があるんですが、だいたいの人が「ヘビを捕えて遠くへ持っていって放す」という答えを選ぶ。ですが、日本鳥類保護連盟による正解は、実は「何もしない」なのです。 私も最初は間違えました。バードウォッチングを始めた頃は、小鳥がタカに食べられる場面は怖いし可哀想だし動画などでも現れてもとても直視できなかったのですが、この頃は平常心で見られるようになりました。よく考えれば、小鳥も虫やカエルなどを食べていますし、これが自然なんだと受け止めています。 最近では、ハトとカラスが空中で戦っているのを見ても、「どっちが勝つかな」と冷静に観察したりしていますね。