“完全男”佐々木朗希にライバル心…虎に「西純矢あり」
高代氏が入団時から注目していたのはストレートの質とマウンド度胸だ。 「ストレートが異質だ。いわゆる藤川球児のようなスピン型ではない。凡退がポップフライではなく、ゴロが目立つのはストレートに押し込まれてバットの下で打っているということ。空振りが多いのもボールに角度がついている証だと思う。このストレートがあるからこそ146キロも出る高速フォークが生きている。さらに、そこに落差の小さいツーシームを混ぜてくるので打者は戸惑うことになる」 そして、もうひとつの長所がマウンド度胸。 1回二死二塁のピンチに4番の岡本を迎え、カウントが3-1になると、西純は梅野のサインに6度クビをふってインハイのストレートを選択し空振りを奪った。結果的に四球で歩かせることになったが、立ち上がりの緊張する場面で、大先輩の梅野のサインに6度もクビを振るなんてなかなかできることではない。 「クビを振れのサインもあるので一概に言えないが、向こう気の強さ、西のマウンド度胸を表すようなシーン。ルーキーの頃から自分の考えをハッキリと言えるプロ向きの性格だなあと思って見ていた。喜怒哀楽を心から表現するからチームのムードも良くなる」 高代氏は、ルーキーイヤーから、西純の可能性に一目置いていたという。 千葉ロッテの佐々木朗希、ヤクルトの奥川恭伸、チームメイトの及川雅貴と共に“高校四天王”と呼ばれた。オリックスの左腕、宮城大弥も同世代だ。阪神は、その年のドラフトで奥川を1位指名したが、クジで外れて外れ1位で西純を指名した。 奥川は、昨季ヤクルトのエースとして日本一に貢献、宮城は昨季のパ・リーグの新人王を獲得した。佐々木は、今季完全試合&連続三振、最多三振の日本記録を成し遂げて大ブレイク中。そして、及川も昨季は重要な左の中継ぎエースとして活躍した。 一方の西純は、昨年5月19日にプロ初登板初勝利を挙げたが、次の交流戦のソフトバンク戦で敗れて、1軍登板機会は最後までなかった。その同期たちから受けた刺激とライバル心が進化、成長への原動力だった。 「朗希も、奥川も、およ(及川)も、ほんとに頑張っていて、自分もずっと負けられないと思っていた。なかなか歯痒い日々が続いていたんですけど、今年はやるぞという気持ちでずっと過ごしてきている。ここからもっともっとやっていきたいと思います」 藤浪、伊藤将が新型コロナの感染で戦線離脱。小川もヒジに張りを訴えて登録抹消となり、本来は巨人第3戦目に先発予定だったガンケルにもなんらかのアクシデントが発生したため、急遽、巡ってきた先発チャンスを結果と内容でモノにした。