まわりに悩みを言えず、人間関係で苦しんだ学生時代 たどり着いた「生きていてよかった」 #今つらいあなたへ
自分を追い詰めてきた「オーバーワーク」
編集部: 入院や治療を経験したのはいつ頃ですか? 山田さん: 高校3年生で自殺しようとしていたのがばれて、親に病院へ連れて行かれました。人間関係と進路のことで色々と追い詰められていたのかもしれません。 夏休みの間だけ入院したのですが、主治医の先生がすごく良い人でした。「君は同い年の子と話すのはよくない。同い年だと周りのことを考えすぎてしまって常に気を張ってしまうだろうから、少し上の余裕がある人たちと過ごした方が良い」とその先生に言われたことを覚えています。 その先生は、やってはいけないことの指示を具体的に教えてくれました。テスト勉強を止めろと言われたこともあります。性格なのか特性なのか、誰かに止めろと言われなければ止められないのです。それまでは止めろと言ってくれる人がいなくて、ずっとオーバーワークで生きていました。 編集部: その後も追い詰められてしまうことはありましたか? 山田さん: 自分のやりたいと思うことを突き詰めて、上京して専門学校に通いましたが、2回目の自殺未遂をしました。やりたいことを自分以上に突き詰めている人に囲まれて、さらに自分を追い込んでしまったことが原因だと思います。それがきっかけで専門学校は退学しました。 その後も地元に帰りたくなくて、東京で働きながら一人暮らしをしていましたが、ふと「死にたい」という気持ちが強くなって、自殺未遂をしました。このときは友人が偶然気づいてくれて、ギリギリのところで助けられました。
「死ななかったことの意味」 毎日を楽しく生きるために
編集部: その後はどのように過ごされたのですか? 山田さん: 地元に戻って、ゆっくり過ごしていました。その頃はバンドの追っかけをしたり、ひたすらゲームに没頭したりして、あまり将来のことを考えたくないという気持ちで貯金を切り崩して生活していました。 「自分は生き抜いたのか、それとも死にそびれたのか」という複雑な気持ちを抱えたまま5,6年が過ぎた頃、今の旦那と知り合い、上京しました。生きることを諦めていたら当然旦那とは会えなかったので、結婚してから「死ななかったことの意味があった」と今は感じています。 旦那と出会えて結婚した後もオーバーワークしがちな傾向がなくなったわけではなくて、周りの目が気になるのもずっと続いていて、未だに仕事を休職することがあります。ただ、「自分を傷つけることで悲しむ人がいる」ことを今は分かっているから、どうにか少しでも楽しく生きようと思っています。 編集部: 現在の生活について教えてください。 山田さん: 今は在宅でできる仕事をしています。ちゃんと起きて、着替えて、ご飯食べて、それだけで偉いと思うようにしています。今では生きていて楽しいです。 「来年どうしよう」みたいな自分を追い込む目標ではなく、「来週どうしよう」とか短期的な楽しみを持つことが私には大切だと思っています。没頭できる趣味のような、目の前の楽しみに集中することでやりすごせていると思います。