好調のI-ne、ECモール事業。Amazon、楽天、LINEヤフーの担当者3人が語るI-ne流の運用術
■ Amazonでは「データの可視化」「検索順位」「セール強化」を意識 ――Amazonについて教えてください。 木野 皓生氏(Amazon担当):ECグロースハック部のキープラットフォーム2課に所属しています。2024年からは2課の課長を務めながら、AmazonとZOZOTOWNの責任者をしております。 ――「販売事業者アワード」での受賞は今回が初めてとなりました。成果につながった施策はどのようなものですか。 木野氏:主に3点あります。1点目は、チェックするべきデータの可視化です。Amazonにおける流入、CVR、客単価、広告各指標などのデータがこれに該当します。Amazonは何かしらの検索キーワードで流入されてから購入に至るお客さまがほとんど。このため、市場での検索ボリュームや、多く検索されているキーワードを調べて、検索されたときにI-neの商品のSEOの順位や広告状況を定点観測できる社内分析体制を作りました。
それぞれの短期的な指標だけでなく、LTVや新規・定期のお客さまの動向も確認・対策できる体制を整え、長期でもビジネスの状況がポジティブかどうかも重視して運営する両軸の運営ができる体制への転換に尽力しました。
木野氏:2点目はアクションの高速化と資産化です。1点目でデータの可視化ができるようになったことで、「どこが1番ボトルネックで、どこに伸びしろが1番あるのか」の把握が早くなり、アクションに割ける時間も増えました。同時に、重要度の高い課題に対して優先的にアクションをすることで、結果への反映も早くなりました。 LPの改善による「資産化」にも注力しました。前年までと比べて10倍以上のABテストを試行することで、競合が模倣することが困難な資産(ABテストから得られた結果)を積み重ねることができ、かつセールや広告の投資効果を最大化させることにもつながりました。 3点目はAmazonセールに対する取り組み強化です。Amazonはセールがうまくいくとセール後のベース売上が向上することが多くあるため、セールのときはなるべく多くの広告コストや在庫を積んで、大きな売り上げの山を意図的に作り出すことも重視した運営をしました。 セール時にはECモール内だけでなく、デジタル上のお客さまとの各タッチポイントからの流入も図るために他部署とも連携して、それぞれのブランド全体でセールに注力するようにしました。 ――3つの改善点は、木野さんが担当される以前は、Amazonの運用において重要視されてこなかったのでしょうか。 木野氏:重要視してこなかったというよりも、「しきれていなかった」と思います。一番優先して実施するべき施策が何かは、担当者によって分析の仕方や粒度が異なるため、実際のアクションよりも、膨大なデータを整理する業務に追われていたと思います。 その改善のためにデータ分析を標準化して、アクションに時間を多くあてられるようになったことが好循環につながりました。それにより、LP改善などの緊急性は低くとも重要性が高いアクションや、ブランド全体を巻き込んでのセールに向けたアクション、さらには商品自体の改善など、消耗戦にならずに本質的な取り組みに注力できるようになってきました。ポジティブな変化ができていると感じています。