金融緩和続けるのは「物価上昇2%目標達成のため」日銀・黒田総裁会見1月18日(全文3完)
イールドカーブ・コントロールに構造的な問題はないか
記者:朝日新聞の原です。よろしくお願いします。長期金利はコントロールできないと言っていた日銀が、コントロールできるというふうに転換したのが7年前だったわけですが、その後も世界の中央銀行では長期金利はコントロールできないというのがコンセンサスです。最近の国債市場の混乱とか、総裁が昨年の9月に記者会見で、政策修正の見通しについてミスリードされる発言をしたことを含めて、イールドカーブ・コントロールには非常に構造的な問題があるのではないかと思われます。イールドカーブについて、ターゲットではなくてコントロールといったことに日銀のおごりがあったのではないでしょうか。 黒田:まったくそんなことは考えておりません。長期金利を全てコントロールするというようなことは述べてもおりませんし、また、長期金利に影響を及ぼすために諸外国も長期国債や民間の債券を直接購入して金融緩和を続けていたわけでして、ご指摘のような議論は大昔の商業手形の割引とか、TBで金融政策を行う、あるいは公定歩合の操作だけで行うといった、かつてのビジネスモデルだったと思いますけれども、もう現在は先進国のみならず途上国の中央銀行も含めて、長期債の購入であるとか民間債の購入であるとか、さまざまな手段を講じて金融緩和をし、あるいは、最近であればインフレに対応して金融緩和の正常化を続けているということでありまして、ご指摘のようなことは、どこの中央銀行も金融学者も言っておられないと思います。 記者:総裁、すいません、最後の1問をお願いします。
イールドカーブ・コントロールの意味は
記者:ありがとうございます。手短に。日本経済新聞の清水と申します。よろしくお願いします。日銀は2%の物価安定目標の安定的な持続に必要な時点までイールドカーブ・コントロールを続けると約束していますが、このイールドカーブ・コントロールの意味として、これ、10年物の国債利回りに限らず、例えば5年とか2年に切り替えることもありうる、つまりそれも含めてイールドカーブ・コントロールを続けると、そういう意味だと解釈してよろしいんでしょうか。 黒田:IMFが一時、10年債ではなくて、もう少し短い債券の、国債の金利をターゲットにするようなほうが望ましいんじゃないかってことを一時言われましたけども、われわれとしては、やはり一番短期の政策金利と、それから最も代表的な長期金利である10年債の金利と、この2つをターゲットにしてイールドカーブ全体を適切な形に維持するということが最も適切じゃないかというふうに思っております。もちろん一切、いかなる変更も検討しないってことではないんですけども、今のイールドカーブ・コントロールっていうものの考え方は、そういった考え方に基づいて行われているというふうに思います。 記者:では、これで会見を終わります。総裁、ご協力ありがとうございました。 (完)【書き起こし】日銀・黒田総裁会見1月18日