金融緩和続けるのは「物価上昇2%目標達成のため」日銀・黒田総裁会見1月18日(全文3完)
なぜ国民生活にプラスになる方向にかじを切らないのか
記者:フリーの記者の横田一ですけども、前回12月の緩和修正で円高が進んで輸入物価高が小さくなるいい方向に進んだのに、今回の緩和継続・維持で再び円安が進んで輸入物価高が大きくなる悪い方向に進んだと。なんで国民生活にプラスになる方向に、さらにかじを切らないのか。先月も同じ質問をしたんですが、来年度の物価上昇率2%以下の見通しとか為替の影響にはコメントしないとおっしゃいましたが、さらなる円安が進めば2%を超える事態も十分考えられますし、そもそも安倍さんと一緒に10年前にアベノミクスで異次元金融緩和を進めて行き過ぎた円安を招いたことからすれば、為替の影響にコメントしないのはあり得ないと思うんですが、なぜ見直しを進めないんでしょうか。緩和見直しを進めないんでしょうか。安倍さんの背後霊でもついて、安倍さんの評価が下がるようなことをしたくないのか、国民生活は二の次になっているんじゃないかという気すらするんですが、合理的な説得力あるご回答をお願いします。 黒田:質問の趣旨がよく分からないんですけれども、何度も申し上げているとおり金融緩和ということを通じて経済成長、賃金も上昇し、物価も緩やかに上昇していく、それが物価が安定的・持続的に上昇するというもので、そういうものが物価安定目標として掲げてあって、それを追求してきたわけであります。 為替レートの上下につきましては一貫して、ファンダメンタルズを反映して安定的に推移することが望ましいということだけ申し上げて、レベルとかなんかについて具体的なことは申し上げないというのは、これは中央銀行として全てそういう形になっております。為替政策は政府、日本の場合は財務省の権限と責任の下にあるということであります。
市場と真摯に対話できているか
記者:フリーランスの後藤と申します。よろしくお願いいたします。先ほどの質疑で市場との対話について総裁は、特別な問題はない、金融政策をオープンに議論して明らかにするとおっしゃっていました。ただ実際のところは、12月の会合で見ると、それまで政策修正の可能性を感じさせない中での政策修正となって市場に大きなサプライズを与えました。逆に今回は事前に政策修正の思惑が生まれたのちに結果としては現状維持で、マーケットは大きく反応しています。 黒田総裁は先ほどおっしゃったように、為替相場は安定的に推移するのが望ましいとおっしゃってますけれども、逆にこの決定会合自体がマーケットを不安定化させるイベントになってしまっているっていうのが現状かと思います。こういった点を踏まえて、黒田総裁は市場と真摯に対話できているとお考えでしょうか。今後の情報発信を巡っても反省したり改善すべき点はまったくないという趣旨の先ほどのご回答だったということでよろしいでしょうか。よろしくお願いします。 黒田:前から申し上げていると思いますけれども、金融政策につきましては、毎回の金融政策決定会合で経済・物価・金融情勢を議論して、次回の金融政策決定会合までの金融政策の運営について議論して決定するということになっております。従いまして、いわば次回の、次の決定会合で何をするかっていうことを事前に市場に対して話すということは、どこの国の中央銀行もしておりません。われわれも含めて全ての中央銀行がやっていることは、経済・物価の見通しを示しつつ、そうした下でどういう金融政策運営をするかという方向を示しているだけであります。これは、私どもとしては一貫して2%の物価安定目標を持続的・安定的に達成できるようにすると。そのために金融緩和を続けると。そのための措置を毎回の金融政策決定会合で議論して決定してきてるわけであります。 また、その下でも、これも従来から申し上げているとおり、金融政策の効果と副作用について毎回検討して、特に市場機能の問題については、適宜、適切な対応を取るということも申し上げてきているわけでありまして、そういった方向と違ったことを何かやったということではないと。ただ、具体的に次の金融政策決定会合で何を決めるかということを市場に連絡する、伝えるというようなことは、どこの中央銀行もやってないということだと思います。 記者:総裁、すいません。最後、2人でお願いできますでしょうか。