国内外で年間250店、トリドールHD粟田社長はなぜ新規出店の意思決定を人に任せるのか?
■ 海外の経営者と一緒に会社経営している感覚 海外業態でも同じことが言えます。私がトップダウンで全体の出店計画を決めていたら、どうしてもMarugame Udonの出店を優先してしまいます。それぞれの業態のリーダーが自分たちの業態の強みを十分に理解して、各々の目標を掲げて邁進してくれているからこそ、同時多発的な出店が可能になっているのです。 2023年11月に実施した社員向けイベントALL KANDO CREATORS MEETINGには、アメリカ、イギリス、スペイン、シンガポール、中国、台湾、香港、フィリピン、インドネシア、カンボジア、ベトナム、マレーシア、グアムといった国と地域から、総勢約70名の海外リーダーが一堂に会しました。 イベントの中で、グループに入ってくれた海外のブランドの経営者が一言ずつ挨拶する場面がありました。そこでほとんどの人が「KANDO」という言葉を使って、自分たちの思いを伝えてくれたのです。単にグループ企業となったのではなく、トリドールと同じビジョンを描き、ミッションを共有してくれている仲間なのだと実感しました。 私は今、この海外の経営者たちと一緒に商売をしているような感覚があります。ブランドについての話を聞くと、「そこまで考えているのか」と学ぶことばかりです。私とは見ているところも経験も違う優秀な経営者が、自分で出店の意思決定をして、そのブランドを成長させていっている。世界の仲間と事業を進めるほうが、成長が速いことを実感しています。 ALL KANDO CREATORS MEETINGは、海外のグループ企業の経営者に日本のトリドールのブランドを知ってもらう機会にもなりました。可能性を感じたら自分の国で展開してもらいたい。こうしたグループ企業の横のつながりができることで、二乗、三乗の成長が可能になると考えています。 今から店舗数を1万店にすると考えたら、足し算、掛け算だけでは及びません。でも、世界の優秀な経営者が情報やベストプラクティスを共有し、アイデアを生み出せば、決して不可能ではなくなるのです。