千葉・幕張メッセで「ブラタモリ」!? なぜ地球科学の学術大会のテーマになった?
地球惑星科学の研究者、技術者、学生などが集まる、年に1度の学術大会「日本地球惑星科学連合2019年大会(JpGU 2019)」が26日、千葉県の幕張メッセで開幕した。 宇宙、大気、海洋、地質、生物など、さまざまな分野の専門家が大勢集まり、5日間にわたって日ごろの研究活動についてセッションごとに分かれて発表し、意見を交わし合う一大イベントだが、その初日の午後に、ひときわ注目を集めたセッションがあった。 セッション名は『ブラタモリの探究―「つたわる科学」のつくりかた』。NHKの人気番組「ブラタモリ」を題材に、「地球科学を分かりやすく説明するということはどのような営みなのか」を考える一般参加もOKのパブリックセッションだった。
「ブラタモリ」とは
「ブラタモリ」とはどのような番組なのか、少しだけおさらいしてみよう。 2008年12月に深夜のパイロット番組として始まり、2015年4月からは、毎週土曜夜7時半から毎週放送している。 NHKの番組のホームページには「街歩きの達人・タモリさんが、“ブラブラ”歩きながら知られざる街の歴史や人々の暮らしに迫る『ブラタモリ』。話題の出来事や街に残された様々な痕跡に出会いながら、街の新たな魅力や歴史・文化などを再発見します」と説明がある。 実際の番組は、タレントのタモリさんと女性アナウンサーが毎回、日本各地(時には海外)を訪れ、冒頭に与えられた「お題」の謎を、その土地に詳しい専門家とともに歩きながら解き明かしていくというスタイルだ。時に、博識のタモリさんが、専門家が解説するより先に「正解」を見つけ出してしまうところなども面白い。 街の歴史や文化といっても、単純に人間の営みの視点から見るだけではない。自然が作り出した地形や時代ごとの社会状況など、さまざまな視点から総合的に考えられるよう工夫されている。最近は、特に地理、地質などに関する言及が多いことから、地球科学の分野の専門家によく見られていて、評価も高い。その証拠に、これまでに日本地理学会賞、国土地理院の「『測量の日』功労者」、日本地質学会表彰など、さまざまな賞を受賞している。