くつろぎの温泉三昧、文豪も愛した湯と文化財の宿 静岡県・修善寺温泉「新井旅館」
湯につかって、のんびりくつろぐ
館内には男女入れ替えで楽しめる大浴場や露天風呂、貸し切り風呂があり、全て源泉かけ流し。まずは、湯船の形が可愛い大浴場「あやめ風呂」へ。二つの浴槽がある内湯です。 あやめの形の湯船は一角にすっぽりと体が収まると、なんだかほっと落ち着きます。 湯上がりはライブラリースペースでほっこり。コーヒーやお抹茶を注文することもできます。 レトロな絵柄がすてきなオリジナルコーヒーカップ。かつて滞在した文人墨客(ぼっかく)を想像させます。 リニューアルにより新設された露天風呂「折節の湯 雪花」は、男女入れ替え制。温泉につかりながら、内湯から露天風呂へと抜けていくプロセスにわくわく。
おいしいものを少しずつがうれしい
月替わりの懐石料理は、たくさんのお料理が少しずつ出てきて楽しい。調理場には温泉の蛇口があり、料理のだしは温泉を使っているそうです。秋景色のような前菜は、マツタケやユリ根がのったずんだ豆腐、菊花のお浸しにマイタケ、エビがあしらわれた「萩和合」、天子すし、サンマうま煮、伊豆鹿のローストとギンナンの松葉刺しなどを静岡の地酒と味わいます。 お造りは天城ワサビをすりおろしていただきます。タイ、キンメダイ、マグロ、エビなどを丁寧なつまと一緒に楽しみました。 「焼物」は3点盛り。サワラ西京焼き、アマダイ柚香焼き、太刀魚おろし煮と、それぞれのおいしさを少しずつ食べ比べです。締めは有機特別栽培米の伊豆市産「桂流こしひかり」の新米ごはん。「すりおろした生ワサビをのせて食べてもおいしいですよ」と、仲居さんの言葉に誘われ、自家製の「おかかのふりかけ」とともにのせて完食です。
夜もドラマチックな温泉旅館
部屋から眺める夜の修善寺温泉。竹林がライトアップされて浮き上がって見えます。食休みもできたから、寝る前に温泉へと廊下へ出れば、ため息が出るほど美しい中庭の池。 名物の「天平大浴堂」は、1934(昭和9)年築。仏教芸術が花開いた天平時代をイメージした総ヒノキ造りの荘厳な建築です。岩風呂の隣にある湯船は立つと胸元近くまである深湯。新鮮な湯の密度を感じます。泉質はアルカリ性単純温泉、肌の古い角質をやさしく落としてなめらかに整える美肌の湯、とろりと軟らかに寄り添うような感触にうっとりします。湯につかって窓を見ると、湯殿は池より深く作られていて、窓ガラスを通して池の中でコイや魚が泳ぐ姿が見えます。