【世界同時株安】でも「オルカン一択が正解」だったのか?新NISA「やらねばならなかったこと」を元ファンドマネジャーがそっと指摘
こんにちは、元機関投資家(ファンドマネジャー)、現在は文筆業兼個人投資家の澤田です。この記事を読んでいるみなさんは、大なり小なり今まさに嵐の中にいる状況ですね。日経平均が2000円下がり、普通なら翌営業日に半値戻しするところが更に5500円下落、幅では過去最大の変動です。 8月5日午後の株式市場は主要銘柄が軒並みストップ安、そうなると売りたい人が現金化できません。結果として先物に売りが集中、現物指数である日経平均とデリバティブである先物が5%乖離するという前代未聞の混乱でした。そしてその翌日、日経CNBCを見ながら本稿を書いていますが、足元3000円高と前日の半値戻しになっています。 SNS上には恐怖をあおる言葉が躍り、厭世観も漂い始めました。さあ、ここでリバランスを考えましょう。というわけで、こういうフェイズでも「気分は悪いながらも淡々とリバランスに徹している」私の、8月の運用についてお話します。 【元ファンドマネジャーが指摘「新NISAでやらねばならなかったこと」】#10前編
その価格を採用するかどうかは「あなたが決めればいいこと」であり、そもそも市場を見る必要がない
今日、6日朝の段階で、Xでは「証券口座の評価額を見て愕然とした」等の言葉が流れていました。私は「長期アセットアロケーション」に基づいて運用しているので、このような状況では同様に評価損を抱えます。 しかし、ここに大きな「勘違い」があります。いま市場でついている値段は「いま売買する人」にとってのみ正しい価格だという点です。TOPIXは時価総額が700兆円ありますが、日々の取引額は1%程度です。その価格を採用するかどうかは投資家自身が決めればよいことなのです。 以前、スーパーでの購買行動と相場での投資行動が非対象的だというお話をしました。スーパーでは値段が下がれば買いたくなるのに、相場では下がれば売りたくなる。これは対象が必要なモノかどうかの認識によります。スーパーでは自分にとっての必需品を買っているのに対し、投資というのは必需ではない、選択的行動対象だと認識している、だから逆になるということです。ですが、老後資産の運用を考える際、実は投資は選択的行動ではなく必需です。もっとも重要なインフレ対策、それには株式投資、外貨投資は避けて通れません。それがグローバル三分法の本質だからです。 (参考)グローバル三分法のアセットアロケーション 株1/3(日本株約10%、外国株約20%) 債券等1/3(社債10%、外債10%、預金等20%) 不動産1/3(居住用不動産20%、REIT10%) 数時間後、数日後の株価は誰にもわかりませんが、数年後、数十年後の株価は上昇しています。だったら安く買う方がいいですよね。私は下げ相場は「将来の期待リターンが上がったんだ」(つまり、先々得をする局面だ)と考えています。 債券だと分かりやすいのですが、利回り1%の10年国債が2%まで金利上昇するとおよそ8%値段が下がります。既に保有していると時価が8%下がりますが、その値段からは2%の利回りになります。株もいくらになるか分かりませんが、物価上昇がプラスの資本主義経済下では経済全体の利益を表象する株式市場は価値が増加しているでしょう。 というわけで、価格が下がったら買いリバランスしましょう、期待リターンが上がったのですから。さらに下がったら再度買いリバランスしましょう。逆もまた真なりで、価格が上昇したら売りリバランスしましょう。この2か月はまさにその期間でした。アセットアロケーション、リバランスについては過去の記事で説明していますからご参照ださい。