ゲイの「結婚相談所」ってどんなところ?隠さざるを得ない社会で「安心して楽しめる」お見合いの形【いいふうふの日】
◆自分の中の「当たり前」って、本当にそうなの?
お見合いは10分間で、お互いが望めば、お茶やご飯に行く。共通の趣味で盛り上がったり、仕事の価値観を聞いて素敵だなと思ったりーー。そんな「よくある」光景が広がっている。 「人を好きになるって異性愛者も同性愛者も変わらず、とても素敵なことだと思うんです」とほほ笑む田岡さん。「これまで見なかった表情を(相手が)引き出してくれる時もあるなって」 ただ自身は異性愛者であり、時折「本来ないはずの違いを、社会が生んでいる」と胸が痛むこともある。日々、「自分の中の『当たり前』が、そうではない」と気づく経験の連続だ。 例えば、よく「近くに良いお店ないですか?」と尋ねられること。当初は少し不思議に思っていた。店舗は今は渋谷にあり、お店は「選び放題」だと思っていたから。でも「ゲイだと気付かれたくないから」席同士が近くないお店を望む人が多いと知った。だから候補の店舗を、ブログで紹介したことがある。 ゲイであることを隠さざるを得ず、恋愛をしたくても経験できずにきた人も少なくない。それに友人や家族への恋愛相談も、カミングアウトが前提となるから難しい。 だからブリッジラウンジの婚活は自然と、3人のコンサルタントとの「二人三脚」になっていった。 漫画やドラマなど、身近な話題で談笑しながら「楽しく」が基本。最近は特に、日本初のゲイの恋愛リアリティーショー『ボーイフレンド』(Netflix配信)の話が盛り上がった。それと同時に、毎回のお見合いでは相手の良いなと思った点や気になった部分を丁寧に聞き、「どんな人となら幸せになれるか」一緒に考えていく。 恋愛だけでなく、仕事や人間関係の悩みにも向き合いたいと話す田岡さん。それは「男女でも同性同士でも、ある程度自分自身が幸せじゃないと、お相手を幸せにするのは難しいと思うから」。 社会はまだまだ「異性愛が前提」で、何気ない会話でも痛みを感じる人も多い。「1人で生きるその空間も幸せに過ごせるように、何かしらの役に立ちたいなと思っているんです」。