ゲイの「結婚相談所」ってどんなところ?隠さざるを得ない社会で「安心して楽しめる」お見合いの形【いいふうふの日】
そんな課題に向き合い始まったのが、前身となるアプリ『Bridge』(ブリッジ)だ。コンセプトは「真剣なパートナー探し」。身分証明書を求め、有料で登録した人のみが見ることができ、GPS情報は取得しないーー。そんな仕様で安全性を担保し、累計5万人から利用されてきた。 だがアプリは(セクシュアリティに関わらず)見た目が重要視される傾向にある。アプリ上に顔写真を出すことにハードルを感じる人もおり、性格を重視したいという声もあった。 そこで2018年に『ブリッジラウンジ』を開設。店長の田岡さんが、男女の結婚相談所に勤めた経験も踏まえつつ、会員と向き合い試行錯誤しながら、お見合いの仕組みを作り上げていった。 大切にするのは「安心して、楽しく活動できること」。それはどんな形なのか。分かりやすいのは、人生観などをヒアリングした上で会員に毎月送る、お見合い相手の「紹介状」だろう。 田岡さんによると、男女の結婚相談所は、本名や出身校、年収、勤務先、きょうだい構成、実家か一人暮らしか、親との同居の有無など、何十個にもわたる項目が用意されていることが多い。 それに対しブリッジラウンジの紹介状は、本名ではなくニックネーム。顔写真はなく、身長、体重、年齢、約300文字の自己紹介文、担当者からのコメントと、極めてシンプルだ。 「ゲイ」の中にも、新宿2丁目などのゲイコミュニティに行ったりSNSで友人を作ったりする人がいる一方で、そうした場に身バレのリスクを感じたり、苦手だったりする人もいる。 田岡さんはその前提を踏まえ、「ブリッジラウンジの会員様の中には『自分がゲイであることを、生まれて初めて話せた』と打ち明けてくださる方が多いんです」と話す。 「相手が同じゲイの人であったとしても、自分のことを明かすことは、ハードルがあると感じています。仕事や出身地などのお話は個人情報でもあり、(プロフィールの時点で書く、数回会ったタイミングで明かすなど)その人のペースで話せる形が、安心につながると感じています」