米CPI注目度低下、雇用軟化でハードランディング回避の成否に関心
(ブルームバーグ): 米金融当局がインフレとの積極的な闘いに乗り出してから2年間、株式トレーダーは米消費者物価指数(CPI)発表前後の数日間にスクリーンにくぎ付けだった。
しかし、8月のCPIが発表される11日は違う展開になるはずだ。なぜか。インフレ率が米金融当局の目標に向かって低下し、当局が利下げの準備を進めているため、CPIが株式市場にとってさほど重要でないからだ。むしろ、雇用情勢の悪化と、金融当局が経済のハードランディングを回避できるかどうかが重要になっている。
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ウェルス・アライアンスの社長兼マネジングディレクター、エリック・ディトン氏は「株式投資家にとって主な疑問は米当局が利下げまで間を置き過ぎたかどうかだ。今ではリセッション(景気後退)リスクがわずか2カ月前より高くなっている。インフレは突如、大きな問題ではなくなった」と語る。
先週のS&P500種株価指数は米シリコンバレー銀行(SVB)が破綻した2023年3月以来最悪のパフォーマンスとなった。エヌビディアの14%下落を筆頭に大手ハイテク株が下げた。シカゴ・オプション取引所(CBOE)のボラティリティー指数(VIX)は6日に一時約24と、8月30日の15から上昇した。
CPI発表日についてオプショントレーダーはどちらかと言えば変動に賭けているが、これまでほどではない。6日午前時点で11日のS&P500種は、いずれかの方向に0.85%の動きが市場に織り込まれている。予想通りなら、今年のCPI発表日当日の値動きとしては最も小幅な部類に入ると、パイパー・サンドラーの集計データは示す。
一方、結果的に弱い数字となった雇用統計の発表前にトレーダーはS&P500種で1.1%の値動きを予想していた。サスケハナ・インターナショナル・グループの集計データによれば、これは絶対値として今年最高の水準で、想定される値動きに関する今年の1日当たり平均を83%上回った。結局、S&P500種は1.7%安となり、予想以上に大幅な動きとなった。