神戸が執念イニエスタ投入でPK戦制しACL4強進出!
同点ゴールは相手ペナルティーエリア付近で獲得した直接FKを、ドウグラスが蹴ると見せかけて古橋が右足を一閃。阻止しようと飛び上がった壁の下を狙う、頭脳的な一撃でもぎ取った。 もともとはドウグラスのパスに抜け出した、上海上港戦に続いてFWで起用された本来は右サイドバックの西大伍を相手選手が倒してPKが宣告された。ここでビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)が介入。モニターでチェックした主審がPKを直接FKに変更し、別の選手に提示していたイエロカードを取り消した上で、西を倒したDFキム・テファンにレッドカードを提示した。 数的優位に立ちながらも、まずは守備を固めて、乾坤一擲の攻撃を仕掛けてくる水原三星に苦しめられたその後の試合展開に、指揮官も「フットボールの難しさだと思っている」と苦笑する。実際に延長後半11分には絶体絶命のピンチを迎えたが、至近距離からMFキム・ミヌが放った決定的なシュートをゴールライン上で弾き返した山口をはじめとして、一丸となった守りで阻止し続けた。 重圧がかかるPK戦で7人全員が確実に決めて手にした勝利は、延長戦を含めた120分間の死闘を介して、神戸の全選手が精神的にも成長した跡を物語っている。負ければ終わりの決勝トーナメントを前に「常にベストを尽くし、どのチームに対しても100%で戦わなければいけない」と、クラブの悲願にすえるアジア制覇を見すえていたイニエスタの言葉が具現化されつつある。 19日の決勝で西地区のペルセポリス(イラン)と対峙する、東地区の頂点を決める準決勝は13日。再び中2日の過密日程で、北京国安(中国)に2-0で完勝した蔚山現代(韓国)と顔を合わせる。イニエスタの先発復帰は難しい状況でも、今大会で起用されてきた山川をはじめとする若手選手たちが経験を積み重ねている神戸には、不本意な結果に終わったJ1リーグとは異なる力が胎動し始めている。 (文責・藤江直人/スポーツライター)