ジュビロ磐田の遠藤保仁が移籍2戦目で勝利貢献…支配率を高めチームを”遠藤色”に染める熟練の技とは?
アディショナルタイムを含めて234分ぶりに生まれたゴールを介して、ジュビロ磐田に9試合ぶりとなる勝利をもたらしたのは、ガンバ大阪から加入して2戦目を迎えた40歳のレジェンドだった。 4位につけているV・ファーレン長崎と、ホームのヤマハスタジアムで対峙した14日の明治安田生命J2リーグ第26節。後半2分に高卒ルーキーのFW三木直士が決めた、両チームともに無得点の均衡を破る値千金の決勝点から場面を巻き戻していくと、ボランチの遠藤保仁が担った右コーナーキックをへて、最終的には遠藤が右足アウトサイドで放った絶妙のスルーパスへと行き着く。 マイボールでキックオフされた後半。ジュビロはいったんボールを下げて、最終ラインから2トップの一角、ルキアンを狙ったロングボールで攻撃をスタートさせた。相手ペナルティーエリアの右角付近でディフェンダーを背負いながら、懸命にボールをキープするブラジル人ストライカーをフォローしようと、後方へスルスルと近づいてきたのが「50番」を背負う遠藤だった。 ルキアンから下げられたボールをトラップした次の瞬間、遠藤は軽やかに右足を振り抜く。ターゲットは自身の前方、長崎ゴールの右側にぽっかりと生じていたスペース。直前まで相手ゴール前の中央にいた三木が、鋭い動き出しから右斜め前のそのスペースへ走り込んできていた。 「他の選手とは違うタイミングや感覚をもっているすごい選手ですし、自分たちが動き出せばボールが出てくるような感じなので、信じて動き出すだけでした。それがあのプレーに繋がったと思います」 ジュビロ磐田U-18から昇格して1年目で、長崎戦が4試合目のリーグ戦出場だった三木が、合流してわずか9日目の遠藤との間に生まれている、以心伝心のコンビネーションに声を弾ませた。 アウトサイドで蹴られたがゆえに、遠藤のパスは長崎ゴールから逃げるような軌道を描きながら、三木が走り込んだ先で一致する。さらに三木は素早く身体を反転させて、中央にルキアン、ファーサイドにはMF大森晃太郎が詰めていたゴール前へ低く、速いクロスを供給した。