ガンバからジュビロ移籍の遠藤保仁はJ1復帰へ巻き返しの切り札になれるのか?
出場機会増を含めた新しいチャレンジとして2001シーズンから19年半も在籍したガンバ大阪からJ2のジュビロ磐田へ期限付き移籍した40歳のレジェンド、元日本代表のMF遠藤保仁が6日に新天地へ合流。初練習を終えた後に、オンラインで行われた入団会見に臨んだ。 「新しいチャレンジをしたいという思いがありましたし、このチャンスを逃したくないと思いました。いいモチベーションといいコンディションさえ保てればまだまだできるというなかで、自分自身もまだまだプレーで違いを生み出せるという自信もある。自分が一番得意とするゲーム作りとか、ゲームを落ち着かせるところ、あとは流れを読みながらゲームを進めていくところはジュビロでも発揮したい」 いつもと変わらない、ひょうひょうとした口調でジュビロでの第一声を発した遠藤は、新型コロナウイルスによる長期中断から再開された、7月4日のセレッソ大阪戦で先発。通算出場試合数をJ1歴代最多の632試合に伸ばしたが、以降の先発は1試合だけにとどまっていた。 途中出場を含めても11試合、プレー時間も363分と、インテンシティー(プレー強度)の高いスタイルを求める今シーズンの宮本恒靖監督のもとで出場機会をなかなか得られなかった。ガンバへの愛着を抱く一方で、現役選手である以上は、できるだけ長くピッチに立てる環境を追い求めた。 1年でのJ1復帰を目指すジュビロからオファーが届いたのは、新型コロナウイルス禍に伴い、特別に設けられた3度目の移籍期間が開く今月2日を見すえたタイミングだった。鈴木秀人強化部長はチームの課題であるゲームコントロールを託せる存在として、遠藤に白羽の矢を立てたと説明する。
「それから先制点をとった後、追加点がほしい状況でのセットプレー(のキッカー)というところを含めて最適の人選でした。さらには先を見すえて強いチームを作っていく上で、若い選手が多いなか、その見本となるプレーができるような選手としても力を発揮してほしいと思っています」 もっとも、ジュビロが置かれた現状は厳しい。年間42試合を戦う長丁場のJ2戦線の24試合を終えた段階で、直近の7試合では3分け4敗と白星から遠ざかるなど7勝9分け8敗の13位。昨夏から指揮を執ってきたスペイン出身のフェルナンド・フベロ前監督を解任し、鈴木政一強化本部長を16年ぶりに監督へ復帰させた4日の京都サンガ戦でも、1-2の逆転負けを喫している。 新型コロナウイルスの影響が考慮されてJ1参入プレーオフが行われない今シーズンは、上位2チームが昇格する。現状で2位・アビスパ福岡との勝ち点差は16ポイント。それでも、ガンバが獲得した9冠すべてを体験してきた遠藤は「あきらめるのは簡単なことですが」と、巻き返しは可能と前を向いた。 「残り試合数を考えても、十分間に合うところにいると僕は思っています。厳しいか、厳しくないのかは見る人によって変わってくるとは思いますけど、可能性がある限りはそこ(昇格)を求めて戦うのが当然だと思っているし、僕自身はまったくあきらめていません」 こう語る遠藤は、2015シーズンのアビスパをモデルケースとしてあげた。元日本代表DFの井原正巳監督(現柏レイソルヘッドコーチ)に率いられたアビスパは、開幕3連敗で最下位に沈むどん底から11戦連続無敗(8勝3分け)とV字回復。さらに最後の12試合でも11勝1分けと2段階のスパートをかけて3位に食い込み、J1昇格プレーオフも勝ち抜いて5年ぶりのJ1昇格を決めた。