変化するバネレートでシルキーに。ハイパープロはツーリングにこそ効く!!
乗ればわかる、変化するスプリング特性
今回、フロントスプリングとリアショックがセットになった「ストリートボックス」を装着したホンダ・CB400スーパーフォアを、フルノーマル車両と乗り比べる機会を得た。リアツインショックはエマルジョンタイプよりもハイグレードなピギーバックタイプで、純正ショックのスプリングだけを換装した仕様よりもさらに高性能ということもあり、ウェット路面のサーキットでは、コンスタントライジングレートがもたらすメリットを多く感じることができた。 中でもとくに好印象だったのは、サーキットとはいえ滑りやすい濡れた路面で、かなり荷重をかけづらい状況でも、初期が柔らかいスプリング特性のおかげで、ある程度の前後ピッチングを引き出すことができた点。路面状況の変化が大きく、スポーティに走らせることの制約が非常に多い公道では、ドライでもタイヤが潰れるほど大きな荷重を与えながらバイクを走らせることは(常識的に考えても)難しいが、初期でよく動くサスペンションなら多少の車体姿勢変化を作りやすく、スポーティな雰囲気を味わいやすいだろう。 一方で、マシンと路面状況に慣れてよりしっかり荷重をかけられるようになると、コシが強いという印象が増してきた。仮に同じ状況でレザースーツを着用してタイムアタックするなら、もう少しよく動く方向に振ってもいいと思うが、これはあくまでサーキットでの話。公道では、あまりピッチングが多すぎるとロングランのときに疲れるし、この状態でも初期はよく動くのでギャップ通過時の乗り心地はいいことなどを考えたら、ツーリングユーザーにとってのベストセッティングと言えるだろう。また、今回は試すことができなかったが、タンデムや荷物積載で高負荷状態になったときも、この特性なら優れた適応力を発揮するはず。やっぱりコンスタントライジングレートのスプリングは、“ツーリングに効く”のである。
田宮徹