消滅寸前! 40年以上新造なしの車両とは? 東海・四国はすでに決別「JRよ、なぜ使わない」
客車列車が減少する3つの要因
JR東日本ぐんま車両センターに所属する電気機関車とディーゼル機関車が、今年(2024年)11月に運転された臨時列車を最後に、旅客列車の運転から引退します。このところJRグループの旅客会社では、機関車が客車を牽引することが減っています。この背景には、どのような事情があるのでしょうか。 【見たことある?】全国走った機関車牽引「お召し列車」をイッキ見!(写真) かつて、列車といえば機関車が客車を牽引する、いわゆる「客車列車」がメインでしたが、1960年代を境に電車や気動車(ディーゼルカー)が全国に普及し、客車列車は数を減らしていきました。最後まで残ったJRの定期客車列車は寝台特急、いわゆる「ブルートレイン」でしたが、これも2015年の「北斗星」を最後にすべて廃止され、現在では臨時列車、ツアー専用列車として、限られた本数が不定期に運転されるだけとなっています。 昨今、客車列車が極めて少なくなっている要因は、大きく分けて「車両の老朽化」「運転上の取り扱いが不便であること」「運転士の確保が難しいこと」の3点が挙げられます。ひとつずつ見ていきましょう。 現在、JRの旅客会社が保有している機関車は、JR九州が保有する入換用機関車DD200形とクルーズトレイン「ななつ星 in 九州」用のDF200形7000番台を除き、国鉄時代に製造されたものばかりとなっています。一番新しい機関車であるJR東日本のEF64形1053号機でさえ1982年10月の製造であり、40年以上もの年月が経過し、老朽化が進んでいます。
路線保守用の事業用車両ですら機関車牽引は消滅へ
かつては機関車の老朽化に伴い、JR東日本では主に寝台特急「北斗星」と「カシオペア」用として、2009年からEF510形500番台を15両製造しましたが、運転終了によって2016年までにすべてがJR貨物に売却されています。このことからも、今後新しい機関車を導入するというのは望み薄といえるでしょう。 機関車は、運転上の取り扱いに配慮が必要です。電車や気動車は折り返しの際、運転士と車掌が交代するだけで済みますが、機関車による列車の場合、機関車を先頭に連結し直す「機回し」という作業が必要になります。これだと、列車が停車している線路だけでなく、機関車を回送させる別の線路も必要で、折り返しにかかる時間や連結作業を行う人員などが電車や気動車よりもかかり、今でいうタイパ(タイムパフォーマンス)、コスパ(コストパフォーマンス)が悪いのは明らかです。 他にも、運転士に関して、電車や気動車と機関車で運転感覚が異なるのもネックでしょう。電車や気動車なら、編成の中に動力車が複数あり運転台で一括制御できるのに対し、機関車が牽引する列車の場合、動力車は機関車しかありません。このため、加速やブレーキなど、逐一きめ細やかな操作が必要となります。 一方で、機関車が列車を牽引する機会が激減している昨今、その運転感覚を維持し続けることは難しくなっています。機関車の出番は主に、レールや線路の砂利(バラスト)などを運ぶ事業用車両の牽引となっていますが、これまた日ごろ電車や気動車を運転している運転士でも違和感なく操作できるよう、電車・気動車型の事業用車両の導入が進んでいます。